NECがベクトル型スーパーコンピュータ「SX-Aurora TSUBASA」の新モデル「SX-Aurora TSUBASA C401-8」について説明。データセンター向けとなるC401-8は、従来モデルの「SX-Aurora TSUBASA B401-8」と比べて2.5倍の処理性能と2倍の電力効率を実現したことを特徴とする。
NECは2022年10月7日、オンラインで会見を開き、同日に発表したベクトル型スーパーコンピュータ「SX-Aurora TSUBASA」の新モデル「SX-Aurora TSUBASA C401-8(以下、C401-8)」について説明した。データセンター向けとなるC401-8は、従来モデルの「SX-Aurora TSUBASA B401-8(以下、B401-8)」と比べて2.5倍の処理性能と2倍の電力効率を実現したことを特徴とする。また、東北大学サイバーサイエンスセンターの新たな大規模科学計算システムやドイツ気象庁の天気予報システムなどへの採用も決まっているという。
C401-8の最小構成台数は12台で、ベクトルプロセッサを搭載するPCI Expressカード型のベクトルエンジン(VE)は96枚(1台当たりVE8枚)。この最小構成の価格は2億500万円(税別)で、2023年3月に提供する予定だ。2024年度までに100億円の販売を目指す。また、SX-Aurora TSUBASAは2022年8月時点で2万枚以上のVEを出荷しており、2023年度末までに3万枚の出荷を目指すとしている。
C401-8は、CPUコア数をB401-8の10個から16個に増やすとともに、各コア内のスカラプロセッサ向けに用いられるL1キャッシュとL2キャッシュに加えて、スカラプロセッサとベクトルプロセッサの両方と連動するL3キャッシュを新たに搭載した。L3キャッシュは前世代となる「SX-ACE」で採用していたが、SX-Aurora TSUBASAを製品化する際には設計や製造プロセスなどの制約上の問題から採用していなかった。この各コアに搭載するL3キャッシュに加えて、SX-Aurora TSUBASAから採用している全てのCPUコアで共有するLLC(Last Level Cache)と併せてダブル搭載となった。
さらに、ベクトルプロセッサの性能向上で重要な役割を果たすメモリ帯域幅についても、従来のHBM2に替えて最新規格であるHBM2Eを採用して性能向上を図った。メモリ帯域幅は1.53TB/sから2.45TB/sに向上している。メモリ容量もLLCは従来比4倍の64MB、HBM2Eは同2倍の96GBに増強している。これらの改良によって、アプリケーション処理性能が2.5倍になったとする。
製造プロセスについてはTSMCとの協業を継続しつつ「最先端のプロセス」(NEC)を採用した。プロセスの進化とアプリケーション処理性能の向上により、電力効率を2倍に高められたとする。なお、B401-8のダイはTSMCの16nm FinFETプロセスを採用していた。
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