なぜダイハツ工業では現場発のAI事例が次々と生まれるのか、仕掛け人に聞く : 製造業×DX キーマンインタビュー (4/4 ページ)
現在は生成AIの活用も拡大中だ。ガイドラインを整備し、安全な環境での利用を推進しており、すでに全社員の45%が毎月利用しているという。
「生成AIを当たり前のように使える環境を用意したい」と語る太古氏
太古氏は「ステップ1としてまず一般的な用途としての利用を推進している。会議の要約や案内文作成など日常業務の効率化を進めている。既に、生成AI活用も含め、業務の効率化が期待できる12の部署で専用Chatbotなども展開している。ステップ2としてRAG(検索拡張生成)などを生かした機密情報の活用も含めた生成AIの利用を想定し、現在準備を進めているところだ。次にステップ3としてAIエージェントで一部業務の代替を想定している」と活用ステップについて説明する。
生成AIの活用については、利用ログや使用プロンプト情報なども一部で可視化し、需要の高い共通テーマを先回りしてテンプレートやパッケージ化するような取り組みも行っており、活用を推進する共通基盤化を進めているところだ。
「勉強会や事例集の用意なども進めており、生成AIを当たり前のように使えるような環境の普及に努めている。将来的には、設計データやスピーチ原稿など社内にある膨大な情報をAIが認識、整理し、データドリブンな意思決定を支える構想を描いている。ただ、そこに向けて整備しなければならないことも多いので、現状はその準備運動の時期だと捉えている」と太古氏は語る。
今後について太古氏は「ダイハツ工業をデジタル先進企業として見られるようにしたい」と力を込める。「将来的にはクルマはiPhoneのようなデジタル製品になると考えている。その中で、車を作る人についてもデジタル技術を当たり前に使うことが求められる。“使い倒す”力を全員が持てる組織となれるように種まきと育成を進めていく。それが結果的に安くてよいクルマを届けることにもつながる。」(太古氏)と抱負を語っている。
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