まず「誰でも簡単に活用できる仕組みを整える」として取り組んだのが、使いやすいノーコード/ローコードツールの積極活用だ。その1つとして、2019年からはAIプラットフォームである「DataRobot」を導入した。DataRobotは、データの前処理やモデルの構築、実務環境へのAI実装までをカバーするエージェントワークフォースプラットフォームで、これにより、Pythonに不慣れな人でも予測AIのモデルを作れる仕組みができ、現場へのAI浸透を加速できたという。
「ツールも当初は一から自分たちで開発していたが、DataRobotを導入することで社内展開を各段に加速できた。製造業にとって、データの整理やAIツールの開発は本当にやりたいことではない。その先の現場で何を達成したいかが重要だ。その手前で必要になるデータの準備や現場への組み込みまでの負荷をできるだけ下げてあげることを重視した。そのために外部のツールも使えるものは使っていくことが必要だ」と太古氏は考えを示す。
一方で、製造現場の業務は多種多様であり、企業や工場ごとに大きく条件や仕様が異なっている。そのため、外部ツールでは対応できない場合もある。「そういう独自領域については、内製で対応ツールを作成する。標準化する部分と、個別化する部分を切り分けて、進めていくことが重要だ。できる限り標準的なツールや技術を採用して負荷を下げつつ、個別化する部分にリソースを割り振れるようにする」と太古氏は推進するポイントについて述べている。
実際にダイハツ工業では、異常検知や分類、物体検知などの100件以上のAI活用ツールを内製している。これらについても「PLC(Programmable Logic Controller)などの現場機器に接続する定型コードを用意するなど、ルールに沿って実装できるような実装パッケージを整備し、できるだけプログラミングなしにシステム化ができるようにしている。100件以上の導入実績から実装における“つまずきポイント”を抽出し、さらにツールとして組み込んで再利用できるように進めている」と太古氏は工夫について説明する。これらの徹底した取り組みが評価を受け、2025年7月には、日本ノーコード推進協会が行っている「第3回日本ノーコード大賞」の優秀賞なども受賞しているという。
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