数多くの取扱いアイテムの中で、在庫化の対象とする商品は顧客の購買データを基にしたアルゴリズムにより最適化している。それぞれの商品は販売開始後一定期間売り上げが伸びるが、その後新たに販売開始された類似品などとの競合によって売り上げが下がる傾向がある。
モノタロウは新規アイテム採用時に原則在庫化の対象とはせずに、取り寄せ品として取扱いを開始し、一定期間の販売実績を見た後で、基準を満たすだけの売り上げが確認できたものだけを在庫化の対象とする。また、在庫化されたアイテムについても月次で販売実績を確認し、基準を下回れば在庫化の対象外とする措置をとる。
取扱いアイテム全ての売り上げ実績を単品ベースでトラックしており、これらの実績を通じて想定される在庫回転率などから導き出される保管コストの想定と在庫化による売り上げ改善効果を見積もり、比較することで新規在庫化の対象アイテムを抽出している。2024年は約12万点を新規在庫にしており、3.3万点を在庫退出とした。モノタロウは今後も在庫アイテムの最適化を進めていく方針だ。
自社倉庫を超えたサプライチェーン全体の高度化の戦略は、利便性の向上を目指すもので、納期の短縮が1つのチャレンジポイントとなっている。全ての取扱商品を自社倉庫で在庫することは難しいため、全オーダーのうち約15%は自社倉庫以外から出荷する。その場合、自社倉庫よりも納期が遅くなるケースがある。
自社倉庫に在庫がない取り寄せ商品は、顧客から注文を受けた後にモノタロウからサプライヤーに発注する。基本的にサプライヤーの拠点から同社の倉庫を経由し、顧客に向けて発送することになるので、注文者の手元に商品が届くまでに時間がかかり、待機時間が増えてしまう。
モノタロウは在庫品以外の商品でも極力短い納期を実現するために、「引当2.0」と呼ばれるソリューションを使用。サプライヤーの在庫状況をほぼリアルタイムでテータ連携することで、顧客からのオーダーのタイミングでサプライヤー側の在庫の有無を確認できる。これにより、サプライヤーからの当日出荷を可能にしている。
現在は、それぞれのアイテムに対してリアルタイムで在庫連携を行うサプライヤーは1社に限定しているが、今後は同一アイテムに対して複数サプライヤーと在庫連携を行うことで、より最適な受注引き当てが可能になる。
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