6000人のエンジニアが不足、日本が強み持つ半導体製造装置産業の課題FAニュース(2/2 ページ)

» 2025年06月17日 07時30分 公開
[長沢正博MONOist]
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早まる開発サイクル、インド人エンジニアの活用がカギに

 2つ目は、開発スピードだ。市場投入までの期間が短ければ短いほど、ビジネスチャンスが生まれる。「欧米の競合メーカーと戦わなければならないため、日本の半導体製造装置メーカーでは、開発スピードをいかに早くするかが大きな課題になっている」(高木氏)。

 3つ目は、顧客対応のための人材不足となる。デバイス製造メーカーは、独自色を出すためにさまざまな特注仕様を半導体製造装置メーカーに依頼する。そういったユーザー対応のために人材も割かなければならない。

市場投入への期間短縮の課題 市場投入への期間短縮の課題[クリックで拡大]出所:クエスト・グローバル
顧客対応のための人材の課題[クリックで拡大]出所:クエスト・グローバル
クエスト・グローバル・ジャパンの高木庸司氏 クエスト・グローバル・ジャパンの高木庸司氏

 人材派遣会社を利用しても、紹介される人材はほとんど経験がない第2新卒か、定年直前または既に退職した人たちに2極化しているという。「本当に必要なミドル層の人材は紹介されない。若い人たちは、古い仕事に対してモチベーションは高くない。新しい装置やソリューションの開発の方がモチベーションが上がる。では、誰がそれらをやるかという課題がある」(高木氏)。地方に拠点がある場合、若い人材の採用にも難しさがある。

 クエスト・グローバルでは、古い装置のソフトウェアメンテナンスサポートを行っている事例があり、古いソースコードで情報も足りない中、不足している設計資料の追加、修正も行っているという。また、半導体製造装置の制御プラットフォームを自社開発しており、「半導体製造装置の新興企業にカスタマイズして提供し、ユーザーが装置を販売する例もある」(高木氏)。

 同社では日本だけでなく、インドでの採用に力を入れている。インドはIT大国として知られ、毎年150万人の工学系の学生が卒業するという。「日本に行きたいという人もたくさんいる。われわれとしても、その中で日本語が話せる人材を育て、日本に来てもらい、日本における構造的なエンジニア不足の解消に貢献したい」(貫名氏)。

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