人的リソースの集中的投入の例としては、コンテナ型データセンターやごみ焼却プラントがある。コンテナ型データセンターは、ハイパースケールデータセンターとの併用により高速分散処理やセキュリティなどのニーズに応える分散立地型データセンターだ。関連する技術分野のリソースを活用して耐久性と信頼性に優れた製品を短期間で開発した。人口の増加や都市化による廃棄物増加を見据えた自動化ごみ焼却プラントでは、各分野の社内エキスパートが協力して集中的にリスクを洗い出し、引渡し前の連続試運転を完遂した。
開発のスピードアップでは、市場の潜在ニーズの先読み、共通基盤技術の投入やオープンイノベーションの活用、技術課題の細分化、小さく速い仮説検証の繰り返しを推進する。物流の自動化/知能化ソリューションが成功例だとしている。リードタイム半減に向けては、作りやすい設計や生産の自動化、DX(デジタルトランスフォーメーション)、組織内の情報共有による滞留削減を進める。
Innovative Total Optimizationでは、異分野を賢くつなぐことで潜在的なニーズを先読みし、「ΣSynX」のような新しい価値を生み出す。既存事業で強みを持つ700以上の技術分野を、社内外、ハードウェアとソフトウェア、成熟技術と最新技術のように賢く連携させることで価値を創出していく。三菱重工 社長兼CEOの伊藤栄作氏は「桁違いに多くの顧客に新たな価値を届ける」と決意を述べた。
次世代新交通システムの新ブランド「Prismo(プリズモ)」がその例。全自動無人運転車両本体だけでなく、蓄電システムやエネルギーマネジメントによる省エネ、稼働監視を組み合わせる。生産拠点である三原製作所(広島県三原市)のカーボンニュートラル化で、ライフサイクル全体のCO2排出削減に貢献する。
また、コア技術のライセンス活用やパートナーを通じた新しい地域の開拓、サービス品質を向上させるIT化などにより、新しい顧客や地域にスピーディーにアプローチする。過去に三菱重工は海外の技術を導入するライセンシーから自主開発に移行してきた。アジアや中東、東欧、アフリカなどインフラ需要が伸びる地域にライセンサーとして技術を提供することで地域の拡大に取り組む。
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