三菱重工業は、2024〜2026年度の中期経営計画「2024事業計画(24事計)」について説明。24中計の最終年度となる2026年度の業績目標は、2023年度業績と比べて、売上高は20%増の5.7兆円、事業利益額は60%増の4500億円、ROEは1ポイント増の12%を掲げた。
三菱重工業は2024年5月28日、東京都内とオンラインで会見を開き、2024〜2026年度の3カ年の中期経営計画となる「2024事業計画(24事計)」について説明した。24中計の最終年度となる2026年度の業績目標は、前期の「21事計」の最終年度となる2023年度業績と比べて、売上高は20%増の5.7兆円、事業利益額は60%増の4500億円、ROE(自己資本利益率)は1ポイント増の12%を掲げた。
前期の21中計は、コロナ禍と火力事業の環境変化、スペースジェット事業の中断を含めた民間航空機分野の戦略見直しによって、売上高5兆円を目指した前々期の「18事計」が未達に終わることが確定的となったことを受けて、2020年11月に半年前倒しする形で発表された。
三菱重工業 取締役社長CEOの泉澤清次氏は、収益力の回復/強化と成長領域の開拓を目指した21中計について「2023年度に過去最高水準の利益を達成して、強固な事業基盤と財務基盤を構築するとともに、水素/アンモニア、CCUS(二酸化炭素回収・貯留)、電化/データセンターなどで事業化の可能性を見いだすなど成長領域の開拓でも一定の成果を得ることができた。21事計の目標はおおむね達成できたと考えている」と語る。
24事計では、急速に変化する外部環境に合わせて複雑化する社会課題の解決に貢献すべく「脱炭素化への貢献」と「国家安全保障への貢献」の2つを果たすべき役割として挙げた。
重点領域に指定するのが売上高の拡大をけん引する「伸長事業」と、次期中計の「27事計」以降での大きな成長を期待する「成長領域」である。伸長事業は、エネルギーの安定供給に関わるGTCC(ガスタービン・コンバインドサイクル発電プラント)と原子力、国家安全保障への貢献に関わる防衛から構成される。成長領域は、21事計で見いだしたとする水素/アンモニア、CCUS、電化/データセンターの3事業が中心となる。伸長事業と成長領域の合計売上高は、2023年度の1.6兆円から、2026年度には1兆円増の2.6兆円となる見通し。「成長領域は24中計の最終年度に合計1000億円程度になるとみている」(泉澤氏)とのことから、売上高1兆円増のほとんどは伸長事業によって占められることになる。
一方、伸長事業と成長領域を除く、エナジー、プラント/インフラ、物流/冷熱/ドライブシステム、航空/防衛/宇宙の主要4部門から成る競争力強化事業については、売上高の拡大よりも収益力の強化に注力する。合計売上高は2023年度は3兆円だが、2026年度に1000億円増の3.1兆円となる。つまり、24事計における売上高拡大のほとんどはGTCC、原子力、防衛の3事業で稼ぎ出す一方で、事業利益額の増加分1675億円については、競争力強化事業も大きく貢献することが期待されていることになる。
24事計3カ年累計のキャッシュインの使い道となるキャピタルアロケーションについても、伸長事業と成長領域は6500億円で競争力強化事業の5800億円より多く、収益力の回復/強化を優先した21中計とは逆転している。なお、24事計の株主還元は、21事計の1500億円から2倍近くとなる2800億円に拡大している。
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