構造改革の中、パナソニックHDがR&Dで注力する領域と凍結する領域の考え方製造マネジメント インタビュー(2/2 ページ)

» 2025年05月21日 06時00分 公開
[三島一孝MONOist]
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技術開発部門にも技術テーマの取捨選択など構造改革を要求

 一方で、パナソニックHDでは2025年5月9日にグループ経営改革として、事業撤退や縮小、拠点の統廃合なども含め、グローバルで1万人の人員削減を行う方針を示した。その中には、本社本部改革として「技術開発テーマの選択と集中」が挙がっており、R&Dとしても研究開発プロジェクトの取捨選択が求められる状況となっている。

 小川氏は「基本的な考え方として、技術未来ビジョンで示した方向性は変わらない。ただ、その中での進め方は変えるべきものは変えていく。本社部門全体の予算規模が縮小する中で、それに合わせた形で各プロジェクトの見直しは進めていく。技術開発は、必ず実施すべきものから、可能なら取り組みたいものまで、さまざまなプロジェクトが混在しているが、一部でやめてどうなるかを検討したり、事業会社の研究開発部門に渡すことを検討したりしている」と説明する。

photo パナソニックHDによるグループ経営改革による収益改善目標の内訳[クリックで拡大] 出所:パナソニック ホールディングス

 取捨選択する技術テーマについては「具体的なテーマを挙げることはできない」(小川氏)としているが「ウェルビーイングの領域では、CES2025でAI関連売り上げを2035年度までに30%に引き上げる目標を発表したこともあり、これに関連する『Panasonic Go』を実際に稼働させていくところに、一丁目一番地として取り組むことになるだろう。ウェルビーイングとPanasonic Goの共通部分が最優先での研究開発課題となる」と小川氏は説明する。

 サステナビリティについては「長期環境ビジョンである『Panasonic GREEN IMPACT』の実現に関わる部分はまず優先度高く取り組んでいく」と小川氏は説明する。

 研究開発を完全に止めることで、分野によっては継続性が失われる危険性もあるが、「凍結するものも出てくると考えている。その他、継続するが、予算規模は縮小するもの、維持するもの、逆に注力しなければならないので規模を増やすものなども出てくる。そのバランスを検討していく」と小川氏は考えを示した。

 どのくらいの規模で縮小を進めるかについては「数値を開示することはできないが、本社部門として削減しなければならない数値と同等の比率で基礎研究費も下げることになる」(小川氏)としている。パナソニックHDでは構造改革後の新しい体制をバーチャルカンパニーも含めて2026年1月に示す予定としているが、小川氏は「その時期にはR&Dとしても方向性を明確にし、遅くとも2026年4月には新体制での活動を始めたい」と小川氏は見通しを示している。

photo パナソニックHDによるグループ経営改革の今後のスケジュール[クリックで拡大] 出所:パナソニック ホールディングス

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