NECプラットフォームズは、「Japan IT Week 春 2025」内の「第28回 IoT・エッジコンピューティングEXPO」のアヴネットブースにおいて、国内初となる「AMD Embedded+」アーキテクチャを採用したマザーボードを披露した。
NECプラットフォームズは、「Japan IT Week 春 2025」(2025年4月23〜25日、東京ビッグサイト)内の「第28回 IoT・エッジコンピューティングEXPO」のアヴネットブースにおいて、国内初となる「AMD Embedded+」アーキテクチャを採用したマザーボードを披露した。
AMD Embedded+は、AMDのCPU「Ryzen」とFPGAベースのアダプティブSoC「Versal」を統合した組み込み機器向けのエッジプラットフォームである。これまでAMDは、組み込み機器向けの「Ryzen Embedded」やVersalを個別に展開してきたが、RyzenとVersalを両方とも搭載するAMD Embedded+を2024年2月に発表し、より高度なエッジAI(人工知能)処理や多数のインタフェースとの連携が求められる組み込み機器に対応する体制を整えた。
今回披露したマザーボードはRyzenが「R8840U」で、動作周波数5.1GHzの「Zen4」×8コア/16スレッドと、内蔵GPUとして動作周波数2.7GHz「Radeon RDNA 3」を集積している。対応メモリはDDR5-5600×2で最大容量は96GB。一方、Versalは「VE2302」で、CPUとして動作周波数1.6GHzの「Cortex-A72」×2コアと「Cortex-R5F」×2コア、ロジックセル32万8000(PLメモリ85.6Mビット)を集積しており、AI処理性能は45TOPSに達する。まさに、AMDの組み込み機器向けプラットフォームとして“最強”といえる構成となっている。
なお、AMDからAMD Embedded+の認証を取得したのはNECプラットフォームズが世界で2社目(1社目はSapphire Technology)で、国内では初となる。2025年6月には、同マザーボードを採用した「コンパクトボックス型コントローラ」をリリースする予定だ。アヴネットは代理店として販売を手掛ける。
主な用途としては、Ryzen側で高度なGUIを備えたWindowsベースの組み込み機器の機能を、Versalでさまざまなセンサーと接続するためのインタフェース拡張やエッジAI処理などを担うイメージだ。NECプラットフォームズのFPGAの受託開発の知見やノウハウを生かした独自サポートパッケージを提供し、FPGA開発に不慣れな場合も容易に開発に取り組めるようにする。「高度なSLAM機能を備えるAGV(無人搬送車)やAMR(自立走行搬送ロボット)、複数の画像検査機能を1つにまとめたシステムなどを、1台のAMD Embedded+搭載コンパクトボックス型コントローラで実現できる」(NECプラットフォームズの説明員)という。
展示では、AMD Embedded+準拠マザーボードのRyzenを用いて、LLM(大規模言語モデル)の「Gemma 3」(パラメーター数4B)をエッジで動作させるデモを披露した。なお、このデモでVersalは使用していない。
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