中国の市場激化やタイの市場低迷が響く、乗用車8社の新車生産自動車メーカー生産動向(2/2 ページ)

» 2025年04月23日 11時00分 公開
[MONOist]
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日産自動車

 8社の中で最も低迷したのが日産だ。2月のグローバル生産は、前年同月比12.1%減の23万7982台と9カ月連続のマイナス。8社の中では唯一の2桁パーセント減で、順位ではホンダに次ぐ4位だった。このうち国内生産は、同13.2%減の5万2198台と12カ月連続のマイナス。北米の主力モデルである「エクストレイル/ローグ」やEV「アリア」の台数減が響いた他、国内販売でもエクストレイルや「ノート」が大幅マイナスとなっている。輸出も同11.6%減と低迷し、4カ月連続で前年実績を下回った。

 海外生産も伸び悩み、前年同月比11.7%減の18万5784台と9カ月連続で前年実績を下回った。米国は「アルティマ」やローグなどの台数減により同21.4%減と10カ月連続のマイナス。一方、メキシコは新型「キックス」が増加したことで同7.2%増と2カ月連続で増加した。販売競争が厳しい中国は「シルフィ」の減少で同35.6%減と低迷が続いており、9カ月連続のマイナス。英国も「リーフ」の生産終了や「キャシュカイ」の減少により同12.8%減と9カ月連続で減少した。

ダイハツ工業

 8社の中で最も大きな伸びを示したのがダイハツだ。2月のグローバル生産は、前年同月比76.8%増の12万7894台と大幅に増え、3カ月連続のプラス。これは前年の国内生産が認証不正問題により7000台に満たなかったためで、国内生産は同9.3倍の6万2350台と2カ月連続で前年実績を上回った。内訳は軽自動車が同5.5倍の4万3518台、登録車は前年同月が0台だった。

 海外生産は、前年同月比0.2%減の6万5544台と微減で、2カ月連続で減少した。マレーシアは同3.7%増と2カ月ぶりに増加し、2月として過去最高を更新。ただ、インドネシアは同3.4%減と伸び悩み19カ月連続のマイナスだった。

マツダ

 マツダの2月のグローバル生産台数は、前年同月比4.6%減の9万5563台と2カ月ぶりに減少した。主力の国内生産が同8.4%減の6万139台と2カ月ぶりに前年実績を下回ったためだ。「マツダ3」は同7.3%増と増えたものの、主力車種の「CX-5」は同14.7%減と低迷。「CX-30」も同9.8%減と落ち込んだ。輸出も欧州向けが同32.3%減と大幅減となり、トータルでは同8.1%減にとどまった。

 一方、海外生産は、前年同月比2.4%増の3万5424台と2カ月連続で前年実績を上回った。このうち北米は、メキシコが「マツダ2」や「CX-3」の増加で同4.2%増と2カ月連続のプラスとなった他、「CX-50」の販売が堅調な米国は同30.0%増と伸長した。一方、タイはCX-3の減少で同25.0%減と4カ月連続のマイナス。中国も新型EV「EZ-6」の生産が開始されたが、マツダ3やCX-5の減少により同29.5%減と大幅減となり、8カ月連続で前年実績を下回った。

スバル

 スバルの2月のグローバル生産は、前年同月比34.2%増の8万489台と4カ月ぶりにプラスへ転じた。前年同月に矢島工場(群馬県太田市)で崩れた金型に男性社員が挟まれて死亡する事故が発生し、矢島工場の他、本工場(同)と大泉工場(群馬県大泉町)も稼働を停止。その反動増により国内生産は、同116.1%増の5万1297台と4カ月ぶりのプラスだった。これに伴い輸出も同25.4%増と6カ月ぶりに増加した。

 一方、唯一の海外生産拠点である米国生産は、前年同月比19.5%減の2万9192台と4カ月連続で減少。8社の海外生産では最も大きな落ち幅となった。要因は前年が半導体不足の挽回生産で高水準だったため。現在は適正在庫に向けて生産を調整しており、スバルでは生産台数自体は「おおむね計画通り」としている。

三菱自動車

 厳しい状況が続いているのが三菱自動車だ。2月のグローバル生産台数は、前年同月比9.6%減の7万9002台と13カ月連続のマイナス。8社の順位でもスバルを下回り最下位となった。特に海外生産が低迷しており、同13.5%減の3万6312台と4カ月連続で減少した。主要地域である東南アジアは、最大拠点を構えるタイが経済低迷やローン審査の厳格化などにより依然として市況は厳しく、同43.6%減と大幅減を記録。「ミラージュ」の生産を終了したのも響いた。一方、インドネシアは輸出向け「エクスパンダー」の増産により同66.9%増と大きく伸長した。それでもアジアトータルでは同13.0%減という状況だ。

 国内生産も冴えない。前年同月比6.1%減の4万2690台と7カ月連続で減少した。国内市場向けの「デリカD:5」や「アウトランダーPHEV」は好調だったが、前年に投入した「デリカミニ」が一巡して2桁パーセント減となったことに加えて、日産向けOEM(相手先ブランドによる生産)供給するEV「サクラ」や「ルークス」「デイズ」などが軒並み低迷した。輸出は北米や欧州向けが回復し、同5.0%増と2カ月連続のプラスだった。

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