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自動化プロジェクト再始動、FOOMA JAPAN 2025では海外向け認知策も強化FAニュース

日本食品機械工業会は、食品製造の総合展示会「FOOMA JAPAN 2025」の概要を発表した。

» 2025年04月10日 08時00分 公開
[長沢正博MONOist]

 日本食品機械工業会は2025年4月3日、東京都内で記者会見を開き、主催する食品製造の総合展示会「FOOMA JAPAN 2025」(同年6月10~13日、東京ビッグサイト)の概要を発表した。

 今回のFOOMA JAPANには2025年4月3日時点で、新規出展社123社を含む992社が出展予定だ。最も多いのは食品製造/加工分野の264社、次に包装/充填(じゅうてん)分野の149社、設備機器/技術/部品分野の106社となっている。近年の傾向では、ロボティクスやIoT(モノのインターネット)、フードテックや環境対策分野での出展が増えている。

 4回目を迎えるスタートアップゾーンには、新規出展社12社を含む30社が出展する。3Dフードプリンティングによる新しい食品形状や、AI(人工知能)や量子コンピューティングを使った工程最適化、室内農業や陸上養殖といった新しい生産方式などが提案される。川崎重工業とソニーグループによって設立されたリモートロボティクスは、会場と東京都内の同社オフィスをつないでロボットの遠隔操作のデモンストレーションを行う。

FOOMA JAPAN 2025出展企業の内訳(2025年4月3日時点)出所:FOOMA JAPAN
FOOMA JAPAN 2025 展示会実行委員会 委員長の尾上稔氏 FOOMA JAPAN 2025 展示会実行委員会 委員長の尾上稔氏

 48回目を迎える今回のFOOMA JAPANのテーマは“Touch FOOMA, Taste the Future”となっている。FOOMA JAPAN 2025 展示会実行委員会 委員長の尾上稔氏は「最先端の食品製造技術に触れることで革新性を実感し、その先にある未来の食文化を味わっていただきたいとの願いが込められている。FOOMA JAPAN 2025が新たな食品製造技術の発信地となり、食品業界の未来を切り開く出発点となるものと確信をしている」と意気込む。

 多数のセミナーも実施される。会期初日の6月10日には、FOOMA自動化プロジェクトが開催される。

 FOOMAでは、2022~2024年まで「食品製造ライン自動化プロジェクト」を実施した。食品製造ラインにおける“自動化を希望する工程”に着目し、それらの工程を多品種少量生産で自動化するためには、ユーザーとメーカーの共同開発が重要だとの結論に至った。一方で、自動化を推進する具体的な技術に関しては、「検査・選別」の他は、紹介程度の説明にとどまった。

 そこで2025年からの3年間は、近未来に実稼働しそうな技術をテーマに、有識者と食品製造のライン構築者、食品機械メーカーが登壇するパネルディスカッションを行う。FOOMA JAPAN 2025では、チトセロボティクス 副社長の川村貞夫氏をモデレーターに、立命館大学 理工学部 ロボティクス学科 ソフトロボティクス研究室 教授の平井慎一氏、ケイズ ベルテック 代表取締役の里薗勝成氏らが「省人化ハンドリングシステムの未来」をテーマに話し合う。

 会期3日目の6月12日には、フードテックセッション「食産業のグローバル化と共創の加速」を実施。UnlocX 代表取締役 CEOの田中宏隆氏による、「CES2025」のレポートや食におけるAI活用に関する講演に加え、調理ロボットを開発するTechMagicなど食農領域のスタートアップ企業を招いたパネルディスカッションを行う。

 FOOMA JAPANでは海外来場者の集客にも力を入れる。海外向けのプロモーション動画を作成した他、会場ではグローバルインフォメーションに多言語AI翻訳機を設置したり、出展社に携帯AI翻訳機を貸与したりする。前回の海外来場者は5541人で、内訳は欧州229人、北米115人、アジア/中東5097人、中南米16人、オセアニア/アフリカ84人だった。

 FOOMA JAPAN運営事務局 事務局長の水橋豊氏は「FOOMA JAPANの最大の特徴は、世界で唯一、食品工場にある機器が全てそろっていることだ。このような展示会はFOOMA JAPANしかない。海外では、パンや食肉、包装などカテゴリー別の展示会になる。そのため海外から来られた方が『ここには何でもあるじゃないか』という感想を持つ。最近は日本食への関心が高いため、日本食ビジネスへの関心を持つ方に、職人がいなくても日本食を作れる日本の機械をいろいろな方法を使って伝えている」と語る。

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