安川電機は「FOOMA JAPAN 2024」において、自律ロボット「MOTOMAN NEXTシリーズ」を用いた下膳作業の自動化デモンストレーションなどを披露した。
安川電機は「FOOMA JAPAN 2024」(2024年6月4〜7日、東京ビッグサイト)において、産業用ロボット「MOTOMAN NEXTシリーズ」を用いた下膳作業の自動化デモンストレーションを披露した。
MOTOMAN NEXTシリーズは、状況に合わせて自ら計画、判断し、作業を完結させる自律的な動作を可能とする機能を備えている。コントローラーには、周囲の環境の認識、判断処理およびセンサーから得られた周囲の位置情報を基に動作計画を立て、実行するために自律制御ユニットを搭載している。また、コントローラーの開発環境をオープンにすることで、ユーザーやシステムインテグレーターらが独自の知見、技術を生かしたアプリケーションを構築しやすくしている。
製造現場には、対象の形状や大きさなどにバラつきがあり、ロボットが所定の動作の繰り返すを前提としたティーチングプレーバック方式では対応できない未自動化領域が存在している。それらに対応するために開発された。
ブースのデモでは、コンベヤーで流れてきたプレートをカメラで撮影し、AI(人工知能)を活用してプレートの上にあるコップや皿の種類、紙ごみや残飯の有無などを認識。そのデータを受けて、天吊りされた10kg可搬のNEX10の2台は自動で最適な経路を生成し、食器ごとに片付けるだけでなく、ごみや残飯があれば残飯入れやごみ箱に分けて捨てる動作を披露した。ロボットを天吊りにしているのは、作業スペースの水洗いなどをしやすくするためだ。
食品仕様の垂直多関節ロボット「MOTOMAN-GP8」と、同じく食品仕様のスカラロボット「SLS(Stainless Labyrinth Shell)ロボ」を用いたトッピングや充てん作業の自動化セルも披露した。
通常のスカラロボットは先端にZ軸が置かれているケースが多いが、SLSロボではZ軸からの万が一の異物混入を防ぐため、Z軸を先端ではなくベースの方に持たせてある。先端の回転軸などは、シール材ではなく機構的に密封する特殊ラビリンス構造によって、水などの内部への侵入や、ねじなどの外部への落下を防いでいる。ロボット単体ではなく、システムとしての提供を予定している。
MOTOMAN-GP8を使ったトッピング自動化セルと、SLSロボを使った充てん作業の自動化セルは、低重心な上にキャスターが付いており移設が容易だ。水や洗剤での洗浄も可能となっている。
SLSロボもMOTOMAN-GP8と同様、各軸の可動部やギヤに塗布、充填されているグリスは、万が一ラインに混入しても極力健康に被害を与えない食品グリスを使用。標準のセルの幅は600mmで人の作業スペースとほぼ同等になっている。
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