Schaeffler(シェフラー)は世界最大級の産業見本市「ハノーバーメッセ(HANNOVER MESSE) 2025」において、ロボティクス向けの複列アンギュラコンタクト針状ころ軸受「XZUシリーズ」などを紹介。ヒューマノイドロボット向け技術への期待を示した。
Schaeffler(シェフラー)は世界最大級の産業見本市「ハノーバーメッセ(HANNOVER MESSE) 2025」に出展。ロボティクス向けの複列アンギュラコンタクト針状ころ軸受「XZUシリーズ」をはじめとした各種製品群を紹介するとともに、ヒューマノイドロボット向け技術への期待を示した。
シェフラーは、2024年10月にeアクスルなどを手掛けるヴィテスコ・テクノロジーズの買収を完了していて、今回は合併後初の出展となった。シェフラーのCEOであるクラウス・ローゼンフェルド氏はブースで開催した記者会見でにおいて「われわれは『モーション・テクノロジー・カンパニー』であり、もはや単なる自動車および産業向けサプライヤーとは定義付けられないテクノロジーリーダーだ」としつつ、同社の取り組みを説明した。
シェフラーは、ヴィテスコとの合併で拡充された各種製品群は駆動技術からエネルギー生成、そして持続可能性に優れたサービスソリューションに至るまで「モーション」のあらゆる側面を網羅。さらに、部門間の横断的な連携で得られるシナジー効果活用して競争力向上を進めていくとしている。
こうした中で同社は特に、「ヒューマノイド」向け技術に特に大きな可能性を感じているという。ローゼンフェルド氏は、「AI分野の急速な発展は、ヒューマノイドロボットの台頭を間違いなく加速している」と説明。同市場が2035年まで年40%近い成長率で拡大し、700億ユーロの市場になるという予想もあると紹介し、「これは楽観的な予測だが、いずれにしても非常に興味深い市場であり、この分野におけるわれわれの潜在的な成長力を示すものだ」と語っていた。
今回メッセにおいてシェフラーがアピールしていた製品の1つが、ロボット向けの課題に対応した複列アンギュラコンタクト針状ころ軸受「XZUシリーズ」だ。XZUシリーズは2つのニードルケージを間隔を開けてX配置にした独自の構造を採用。同サイズのクロスローラー軸受と比較して、傾斜剛性を最大30%、摩擦を20%向上している。また、軸受けから潤滑油が押し出されるといった従来のロボット向け軸受の課題に対しても、潤滑材用のポケットが形成された内部設計によって対応している。また、一般的に使用されているクロスローラー軸受と同じ設計外形寸法であり、設計変更をせずに差し替えが可能だ。
さらに、6軸コボットにおいて従来のクロスローラー軸受をXZUシリーズに置き換えたテストでは、制御パラメータを調整することなく800mm/秒の速度で軌道偏差は40%減少したといい、「この結果はXZUシリーズがいかに運動精度と効率を向上させ、ヒューマノイドロボットに使用されるような高精度ギアボックスや産業用自動調心ころ軸受に理想的な選択肢であるかを示している」と強調している。
ローゼンフェルド氏は「もともとは産業用ロボット向けに開発されたものだが、より小型/軽量化を実現したものであり、機敏なヒューマノイドロボットにも用意に導入できる。さらその運動精度や傾斜剛性によって、効率的で正確なモーションコントロールを提供できる」とその利点を強調していた。なお、コスト面でも「従来のクロスローラー軸受と同じ価格レベルで提供できる」としている。
同社はこうした軸受の他、ギアボックスコンポーネント、センサー、アクチュエーター、電動モーターなどの重要な構成要素である各種製品を展開していることから、これらの技術によってヒューマノイドロボットの開発と製造に貢献できるとしている。ローゼンフェルド氏は「われわれはヒューマノイドに重要な各種コンポーネントが提供できる。そしてもちろん、自動車業界における長年の経験、そしてそこでも止められる高い水準も役立っている。これらを最適な機能性と効率性で拡張することで、まさに目指すところに到達できるだろう」と語っていた。
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