AIRoAは、2025年度の初期開発段階、2026〜2029年度の社会実装段階、2030年度以降のコミュニティー開発段階の3段階に分けて進めていく方針である。
足元の2025年度における初期開発段階で行うのは、ベースとなるデータセットと基盤モデルの開発/公開である。正会員でありトヨタ自動車の「HSR(Human Support Robot)」などを用いた単腕のモバイルマニュピレーターを中心に、汎用ロボットに必須となるロボットの基本的な動作のデータを収集して、ロボットの動作を制御する基礎的な動きの学習に活用する。
データ収集の拠点としては、トヨタ自動車やTelexistence、東京大学、産業技術総合研究所、九州工業大学、早稲田大学などを想定しており、2025年度の早い段階で数万時間の実世界データセットをそろえる方針である。この実世界データセットを用いた基盤モデルの開発はコンペティション形式で実施する。前半の5カ月は、6チームに分かれてパラメーター数が数十億(数B)級のロボット基盤モデルを5カ月で開発した後、鋼板は性能上位の2チームに6チームのメンバーを統合して、より大量のデータを用いて数十億〜数百億(数B〜数十B)級のロボット基盤モデルを開発する。尾形氏は「これまで日本国内でこれだけ本格的なデータ収集とロボット基盤モデルの開発は行われたことはない。コンペティション形式のよって早期に高い性能を持つロボット基盤モデルを開発し、グローバルかつオープンに公開する」と強調する。
2026年度以降は、2025年度の初期開発段階で作り上げた基盤モデルに、双腕やヒューマノイド型などのより汎用的なロボットや産業用ロボットのデータを取り込んで改良を進める。実施するタスクも、より社会実装を念頭に置いたユースケースを想定して行い、汎用ロボットの実社会応用につなげていく考えである。
AIRoAが構築を目指す、ロボット基盤モデル開発の先駆けになったのが2023年にGoogleと世界の21の研究機関が参加して行われた「RT-X」である。
これをきっかけに、世界中の企業がAIを活用した汎用ロボットの開発を志向するようになっている。ただし、それらの取り組みはオープンではなくプロプライエタリであり、個社の成果にとどまっている。
AIRoAは、汎用ロボットの開発の促進に貢献する、誰もがアクセス可能なデータエコシステムを構築し、ロボット大国と言われる日本における汎用ロボットの開発と社会実装が進むことを目指している。
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