近年、5G通信やその後継となるポスト5G/6G通信およびAI技術の開発が進むことにより、データ通信量は指数関数的に増大し、2030年には世界全体で年間400ZBに達すると予想されている。この膨大なデータを処理するためのハイエンド半導体市場は、20%という高い年平均成長率(CAGR)が予測されている。
また、昨今は半導体の高機能化に伴い、2.5次元パッケージなど、複数の半導体チップを1つのパッケージに実装する技術である「チップレット」が注目されている。このチップレットで構成された半導体パッケージは現在、半導体チップ間においてデータを高速伝送させるための部材であるインターポーザなどを利用した、シリコンウエハーベースのウエハーレベルパッケージが主流だ。
ただし、ウエハーレベルパッケージは、今後の半導体パッケージの高性能化に伴う大型化に対して、シリコンウエハーが直径300mm以上に大型化できないことや、丸形のウエハーから角型を切り出すのは製造効率が悪いことから、ウエハーよりも大きなサイズと角型が可能なガラスパネルをベースとしたPLPが注目されている。
しかしながら、大型ガラスパネルはウエハーと比較して反りが大きく搬送が困難なことや、パネルを加熱するためのヒータの大型化に伴い、装置内での熱制御や熱による材料の膨張/収縮を加味しながら高精度実装を実現することに課題があった。こういった課題を解消する製品として東レエンジニアリングはUC5000を開発した。
晴氏は「今回の装置は当社がこれまで開発してきた半導体基板向け装置の技術が生かされている。具体的には、小型基板用TCB実装装置でハンダ溶融時に生じる300℃以上の高温による熱影響を補正して実装精度を保つ技術や、50台以上の量産実績がある大型パネル用ブリッジチップ搭載装置の高精度実装技術およびパネル反りの矯正搬送技術、基幹制御システムをUC5000用に完全リニューアルすることで、大型パネルへの対応やTCBでの±0.8μmの高精度実装を実現した。半導体後工程で採用され始めたSEMI規格対応の『FOUP(パネル/テープフレーム)』に対応し、最新の工場での量産にも応じる構成になっている」と述べた。
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