――島田電機のエレベーターボタンは、デザイン性と耐久性がポイントなんですね。では次に、ボタンの進化について伺いたいと思います。現在、エレベーターのボタンも次々と新しいものが開発されていると思いますが、近年の技術的な進歩というと、どんなものが挙げられるでしょうか?
齋藤さん コロナ禍で特に注目されたのが、「非接触型のボタン」です。タイプは幾つかあるのですが、基本的にはボタンについているセンサーが指の接近を感知し、実際にボタンを押さなくてもボタンが反応するというものです。物理的な接触を避けられるのでウイルスなどの感染対策には重宝しますが、近づいただけで反応するので誤作動が起きやすいという短所もあります。
あとは、「液晶画面が内蔵されているボタン」というのもありますね。ボタン自体が画面になっており、ビジュアル面でインパクトのあるものです。ボタンを押した時の反応なども画面内で表現できますし、今後進化していく製品ではないでしょうか。ただ、使いやすさという面で考えると、シンプルな押しボタンの操作性や分かりやすさは抜群で、現時点で必ずしも新しい技術が良いとまでは言えないかもしれませんね。
――お子さんからご年配まで、さまざまな世代の方が使うことを考えると、見た目だけでなく、シンプルな使いやすさも大事なんですね。では、数々のボタンを開発されてきた斎藤さんから見て、「良いボタン」とはどのようなボタンでしょうか?
齋藤さん デザイン性に優れ、建物に調和したボタンですね。ボタン単体として見た目が良くても、建物の雰囲気に合っていない場合はあまり良いボタンとはいえません。意匠品としてデザインの良さを守りつつ、その場所や建物にフィットしたボタンを見ると、良いボタンだなと思います。
――建物に調和したボタン、素敵ですね!今までそんな視点でボタンを見たことがありませんでしたが、今後ボタンを見る目が変わりそうです。では最後に、これからエレベーターのボタンは、どのように進化していくと思われますか?
齋藤さん 先ほどの液晶画面付きボタンもそうですが、やはり「デジタル化」は進んでいくのだと思います。エレベーターに限定して言えば、ボタンの代わりに社員証などをセキュリティゲートにかざし、目的のフロアに向かうエレベーターをあらかじめ呼び出しておくというような技術も使われ始めています。ボタンの代わりにカードを使うワケですが、これもある意味ではボタンの進化した姿の1つかもしれませんね。
――カードで目的階へのエレベーターを呼び出せるのはすごいですね! 待ち時間が長い高層ビルのオフィスなどでは特に重宝しそうです。では、今後はデジタル化されたボタンやカードが主流になるのでしょうか?
齋藤さん 新しい技術は次々に出てくると思いますが、一方でこれまで使ってきたアナログの押しボタンも操作が分かりやすい、安心感があるといった長所があり、まだしばらくは主力であり続けると思いますね。今後は、そういったアナログの良さを残しながら、新しい技術を取り入れていきたいと思っています。
――エレベーターボタンのこれからが楽しみになってきますね! 島田電機のボタンについて、齋藤さんにお話を伺いました。齋藤さん、ありがとうございました!
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.