ここからは、島田電機で作られているボタンや、そのメカニズムについて学んでいきたいと思います。ボタンに詳しいのはもちろんのこと、板金加工のエキスパートでもある、島田電機 製造部の齋藤太郎(さいとう たろう)さんにお話を伺いました。
【お話を伺った人】島田人No.003:齋藤太郎(さいとう たろう)
島田電機 製造部板金グループ所属の技士。板金加工に懸けるアツい思いから、ついた異名は「日本一、カド(切断面)を気にする職人」。やる気フレーズは「大丈夫何とかするから」で、言葉通り同僚からの人望も厚い。「情熱を内に秘めた島田人」としても知られている。
――早速ですが、島田電機で製造されている製品の特徴を教えていただけますか?
齋藤さん 当社は、エレベーターホールや操作盤に使われる「開」「閉」「矢印」のような押しボタンや、その周囲に使われるフレーム、到着灯などを製造しています。いわゆる量産品とは異なり、全てオーダーメイドの特注品ですので、手作り感に関しては特徴的であるかと思います。
例えばボタンのデザイン1つを取っても、クライアントの要望に合わせてフォントや材質などを選定しながら、建物にマッチするよう工夫しています。唯一無二のデザイン性という部分は、やはり特注品の魅力といえるのではないでしょうか。また、研磨のような仕上げ工程は職人が手作業で行っており、人の手で実際に触ったときに手触りが良いか、バリ(突起)が指に引っ掛かってケガをしないかなど、感覚的な部分や安全面に至るまで細かくチェックをしています。
――確かに、島田電機のボタンは一見してスタイリッシュなものが多いように思います! 職人さんの手作業が入ることで、安全性が高いというのもうれしいですね。では、こちらで作られているエレベーターのボタンと、一般的な家電製品に使われているボタンでは、どんな違いがあるのでしょうか?
齋藤さん 一般的に、家電製品のボタンは信号をオン、オフするためのスイッチという意味合いが強いかと思います。それ故にデザインはあまり重視されておらず、シンプルな形状のものが多いように感じますね。
それに対して、当社のエレベーターボタンは意匠性を重視しており、建物や空間にフィットしたものばかりです。独自性が高く、見た目にも楽しんでいただけるのではないでしょうか。また、エレベーターは多くの人が利用するため、ボタンを押す回数も非常に多くなります。耐久性というのも重要な要素で、当社のボタンは20〜30年の使用に耐えるほど頑丈に作られています。これも一般的な家電製品のボタンとは異なる点かと思いますね。
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