JIS製図には、2D図面を描く上での標準化されたルールが多く記載されています。日本産業標準調査会のWebサイトで、「製図」と検索するだけで、次のような検索結果が得られます(一部抜粋)。
JISB0001 | 機械製図 |
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JISB0002-1 | 製図-ねじ及びねじ部品-第1部:通則 |
JISB0002-2 | 製図-ねじ及びねじ部品-第2部:ねじインサート |
JISB0002-3 | 製図-ねじ及びねじ部品-第3部:簡略図示方法 |
JISB0003 | 歯車製図 |
JISB0004 | ばね製図 |
JISB0005-1 | 製図-転がり軸受-第1部:基本簡略図示方法 |
JISB0005-2 | 製図-転がり軸受-第2部:個別簡略図示方法 |
JISB0024 | 製品の幾何特性仕様(GPS)-基本原則-GPS指示に関わる概念、原則及び規則 |
JISB0025 | 製図―幾何公差表示方式―位置度公差方式 |
表1 製図に関わる主なJIS規格 |
「JIS製図」と聞いた途端、若手エンジニアの皆さんは「3D CADで設計しているのに、なぜ2D図面の描き方を理解する必要があるのか?」と疑問を抱かれるかもしれません。でも、実はそうではありません。JISには2D/3D問わず、機械設計を行う上で必要な事柄が詰まっているのです。
まだ読んだことのない人はこれを機に、ぜひ一読してほしいと筆者は考えます。同時に、3D CADが主流の時代になってもまだまだ2D図面が必要とされるシーンがたくさんあることを忘れてはなりません。3D CAD/CAMからそのままNC加工を行う場合も、加工後の検査を要する箇所については重点管理ポイントとして2D図面による管理が行われています。“3Dデータ正”であっても2D図面は補足資料として活用されているのです。
■3Dデータ正とは:
3Dモデルを設計図面の正式なものとして運用する設計の在り方です。要するに、2D図面は正となる3Dモデル(3Dデータ)から作成される、二次的なアウトプットとして捉えることができます(筆者解釈)。その上で、3Dデータは次のような情報を持ち運用されます。
業界として“3Dデータ正”の考え方は「3DA(3D Annotated)」として運用する方向で動いています。上記のように3Dモデルに付加される情報(注釈)のことを「3Dアノテーション」と呼んでいます。
次回は、3Dアノテーションにおいて重要な寸法(サイズ)公差や幾何公差について取り上げます。お楽しみに! (次回へ続く)
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