矢野経済研究所は、2024年下期の偏光板と部材フィルムの世界市場に関する調査結果を発表した。2024年の同市場は、メーカー生産量ベースで前年比5.3%増の5億9430万m2と予測する。
矢野経済研究所は2025年1月10日、2024年下期の偏光板と部材フィルムの世界市場に関する調査結果を発表した。2024年の同市場は、メーカー生産量ベースで前年比5.3%増の5億9430万m2と予測する。
調査は、同年9〜11月に実施。TFT-LCDパネル、AMOLEDパネル、PM-VAパネル、TN-LCDパネル、STN-LCDパネル向けを対象に実施した。
偏光板はディスプレイに使用される主要部材のため、同市場はディスプレイ市場の動向に左右される。2024年はEUでパリオリンピックをはじめとするスポーツイベントが開催されたため、在庫不足に備えた生産需要などでTVパネルの生産量が拡大した。
そのためTVパネル向け偏光板が市場をけん引し、同年第2、3四半期(4〜9月)までの偏光板世界市場は需要量、生産量ともに高い水準を維持した。TVパネルの生産稼働率は同年10月以降に低下したものの、同年11月には中国のメーカーで80%台に回復。中国では経済回復政策の一環として、電子製品の消費を促す政策が2025年に実施されることから、今後の稼働率も堅調に推移すると考えられる。
米国などの関税引き上げを見据えた前倒し需要の動きも見られるが、TVセットの需要増につながる他の好材料は見当たらない。よって、2025年の偏光板生産量は微増にとどまり、伸び率は前年を下回る3%で6億1215万m2と予測している。
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