ODMメーカーの種類と特徴、そして選び方のポイント【後編】ODMを活用した製品化で失敗しないためには(5)(2/2 ページ)

» 2024年11月08日 09時00分 公開
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発展型ODMメーカーと連携型ODMメーカーの比較

 ここまで読み進めていただければ、発展型ODMメーカー連携型ODMメーカーの比較はおおよそできるだろう。その比較表を以下に示す(表1)。

連載の項目名 発展型ODMメーカー 連携型ODMメーカー
過去に扱った製品カテゴリーを調べる どちらも類似カテゴリーの経験を調べる必要あり
何の設計ができるかを調べる 設計者はいるが、技術分野を調べる必要あり 新たに採用していれば設計者はいるが、技術分野を調べる必要あり
単発生産か一定期間の定期的な生産かを調べる 製品の品質管理のスキルがある 製品の品質管理のスキルは少ない
金型に関する知識があるかを調べる 設計者はいるが、技術分野を調べる必要あり 新たに採用していれば設計者はいるが、技術分野を調べる必要あり
設計以外の製品化の基礎知識を調べる 製品化の基礎知識はある 製品化の基礎知識は少ない
協力メーカーの有無を調べる 通常はある 連携する部品メーカーによる
ODMメーカーのアウトプットを調べる ODMメーカーの対応によりけり
修理サービスはどこまでしてもらえるかを調べる ODMメーカーの対応によりけり
表1 発展型ODMメーカーと連携型ODMメーカーの比較

 この比較表の中で相違がある部分の一つは、品質管理スキルの有無になる。単発生産の製品や、構成部品の少ない(組み立て作業の少ない)製品であれば、2つのODMメーカーの間に大きな差はないが、構成部品が多く一定期間にわたり定期的に生産する製品であれば、品質管理のスキルの差が製品の品質に現れる。

 もう一つは製品化の基礎知識であり、特に評価項目の提案に差が出てくる。本連載では、評価項目として安全性と信頼性しか挙げていないが、「製品を決められた方法で正しく組み立てやすい」を表す製造性と、「修理がしやすい」を表すサービス性に関する評価もある。これらの検証項目の提示と、その評価方法/判定基準を提案するのは、量産経験が豊富なODMメーカーでなければ難しい。

 これらのことから、構成部品が多く一定期間にわたり定期的に生産する製品を作るのであれば、発展型ODMメーカーが適しているといえる。一方、構成部品が少なく少量生産する単発生産の製品を作るのであれば、連携型ODMメーカーでも問題はない。

 実は、初めて自社オリジナル製品を製品化しようとする企業が作ろうとする製品は、まだ開発段階にあるものがほとんどで、すぐに設計に取り掛かれない場合が多い。開発とは、机上のアイデアが本当に製品として実現可能かを、設計を開始する前に試作品を数回作って行う検討だ。例えば、折り畳み傘の骨が壊れにくい新たな構造を机上で考案した場合、それが本当に実現可能であるかを骨組みだけの試作品を作り、部品形状をちょっとずつ変更して確認するカット&トライを実施する。試作部品を迅速に何回も作らなければならないので、多くの部品メーカーが集まった連携型ODMメーカーに依頼するのが適している。

 つまり、製品の開発は連携型ODMメーカーに依頼し、製品化の設計と製造は発展型ODMメーカーに依頼するとよい。どこまでが開発であり、どこからが製品化の設計であるかの判断は専門家に相談してほしい。 (次回へ続く

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筆者プロフィール

小田淳

オリジナル製品化/中国モノづくり支援
ロジカル・エンジニアリング 代表
小田淳(おだ あつし)

上智大学 機械工学科卒業。ソニーに29年間在籍し、モニターやプロジェクターの製品化設計を行う。最後は中国に駐在し、現地で部品と製品の製造を行う。「材料費が高くて売っても損する」「ユーザーに届いた製品が壊れていた」などのように、試作品はできたが販売できる製品ができないベンチャー企業が多くある。また、製品化はできたが、社内に設計・品質システムがなく、効率よく製品化できない企業もある。一方で、モノづくりの一流企業であっても、中国などの海外ではトラブルや不良品を多く発生させている現状がある。その原因は、中国人の国民性による仕事の仕方を理解せず、「あうんの呼吸」に頼った日本独特の仕事の仕方をそのまま中国に持ち込んでしまっているからである。日本の貿易輸出の85%を担う日本の製造業が世界のトップランナーであり続けるためには、これらのような現状を改善し世界で一目置かれる優れたエンジニアが必要であると考え、研修やコンサルティング、講演、執筆活動を行う。

ロジカル・エンジニアリング Webサイトhttps://roji.global/

著書

製品化 5つの壁の越え方: 自社オリジナル製品を作るための教科書中国工場トラブル回避術 原因の9割は日本人

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