富士通は、「CEATEC 2024」に出展し、人の動きをデジタル化するデータ解析プラットフォーム「Human Motion Analytics」により人の動きの改善や健康状態の把握を行う様子を紹介した。
富士通は、「CEATEC 2024」(2024年10月15〜18日、幕張メッセ)に出展し、人の動きをデジタル化するデータ解析プラットフォーム「Human Motion Analytics(HMA)」により、スポーツや健康分野で人の動きの改善や健康状態の把握を行う様子を紹介した。
富士通のHMAは、「Fujitsu Kozuchi」のAI(人工知能)技術によって、人の動きをデジタル化するデータ解析プラットフォームだ。複数のカメラの映像を解析して骨格の動きを把握し、その動きをリアルタイムで分析できる。以前から国際体操連盟との共同開発で、体操競技のAI採点などを対象に研究開発を進めてきていたが、2023年10月に全10種目での採用が決まるなど、多くの実績を持つ。高精度の骨格分析技術と推定誤差を大幅に低減する独自のアルゴリズムにより、マーカーの設置なしに精緻な動きの把握とリアルタイム分析が両立できている点が特徴となる。
CEATEC会場では、スポーツ、カルチャー、ヘルスケアの3つの分野における体験型デモを用意し、人とAIのコラボレーションによる価値創造を訴えた。
スポーツでは、バスケットボールのゴールを用意し、実際にシュートを打ってもらうことでシュートフォームをAIで可視化し、プロ選手との比較を行った。その比較結果をもとにアドバイスを行って再度シュートを行いシュートフォームの変化を比較する。
富士通 HumanDigitalTwin事業部 プリンシパルプロフェッショナル 内藤宏久氏は「体操競技のAI判定では、さまざまな体の動きをリアルタイムで分析して判定していることから、さまざまなスポーツでもすぐに応用できる。さらに、高度な骨格分析により、単純に手の位置や足の位置だけでなく、運動的観点で評価できるため、適切なアドバイスなども行える」と特徴について述べている。既にスポーツ領域では、ゴルフ領域などで先行して導入が進んでおり、さらに他の競技でも提案が進んでいるという。
カルチャーでは、伝統芸能である能楽の動きを能楽協会監修のもとAIで可視化し、能楽師の動きと比較する体験デモを行った。能楽師の観世喜正氏の所作や舞をデータ化し、体験者の動きと比較することで、能楽の繊細な表現や技術について紹介した。「技能伝承などでの利用を想定している。匠の技は映像で残しても、どのような動き方をすればその通りできるのかが分からない場合も多い。HMAで骨格の動きを示すことで動きの構造を理解し、技能習得を早めることにもつながる」と内藤氏はその価値について語る。
ヘルスケアでは、ピラティスやヨガの動きであるロールダウンをAIで解析し、背骨の可動域や動きの速度などをスコア化し、専門のインストラクターによる改善に向けた運動指導を行った。「AIで骨格分析が正確に行えることで健康状態の把握なども行うことができる。さまざまな用途での活用を検討していく」と内藤氏は述べている。
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