東京五輪の体操競技はコンピュータが自動採点!? あん馬から技術開発がスタート人工知能ニュース

富士通研究所は、現在開発を進めている体操競技の採点支援技術の最新成果を披露した。「可能であれば2020年の東京オリンピックで使ってもらいたい」(同社)という。

» 2016年10月27日 15時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

 富士通研究所は、2016年10月20日に開催した研究開発戦略説明会において、開発を進めている体操競技の採点支援技術の最新成果を披露した。現在は、体操競技の種目の1つであるあん馬を対象に技術開発を進めており、2017年度に実証実験、2019年度に実用化を目指している。「可能であれば2020年の東京オリンピックで使ってもらいたい」(同社の説明員)という。

体操競技採点支援技術の概要 体操競技採点支援技術の概要(クリックで拡大) 出典:富士通

 この採点支援技術は、高性能の3Dレーザーセンサーによる選手の動きの高精度なスキャニングデータと、人工知能を活用した高精度な骨格認識技術を組み合わせて、体操選手の体の位置や角度を数値化し、技をリアルタイムに判定する。

あん馬演技の技を自動認識あん馬演技の技を自動認識 体操選手のあん馬演技を3Dレーザーセンサーでスキャンして骨格を認識している様子。ディスプレイ画面の下側に技名と難易度が出ている(クリックで拡大)

 3Dレーザーセンサーは同社が独自に開発したもので、1秒間に230万点のレーザー光を発することで高精度に選手の動きを検知できる。選手との距離の違いによらず解像度を保つ自動画角制御機能を有している。

 骨格認識技術については、高速だが低精度なモデル方式と、低速だが高精度なフィッティング方式、それぞれの長所を融合。モデル方式で体の部位を認識し、手と肢を高速推定する。フィッティングは胴体のみに行うとともに、独自のフィッティングパラメータ削減方式で高速化も図った。

 また、マーカーを装着した体操選手の実技から得られるモーションキャプチャーデータを教師データとする機械学習を実施し、3Dレーザーセンサーのセンシングデータからより高精度に骨格を認識できるようにしている。

 将来的には、体操競技だけでなく、フィギュアスケートなど採点競技全般に技術を展開したいという。

説明員が実際に動く姿をスキャン骨格の認識結果 会場では、説明員が実際に動く姿をスキャンし、その骨格を認識するデモも行った(クリックで拡大)

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