CEATEC 2022 特集

歩くとAIがアドバイス、京セラが生み出す人間拡張技術ウェアラブルニュース(1/2 ページ)

京セラは2022年10月13日、東京都内およびオンラインで記者会見を行い、同日発表した人間拡張技術の3つの新しいシステムについて説明した。

» 2022年10月14日 13時00分 公開
[長沢正博MONOist]

 京セラは2022年10月13日、東京都内およびオンラインで記者会見を行い、同日発表した人間拡張技術の3つの新しいシステムについて説明した。これらの技術は「CEATEC 2022」(同年10月18〜21日、幕張メッセ)でも展示する。

さりげなく寄り添う技術で日常を変える

 京セラでは“舞”というコンセプトを掲げ、人間に寄り添い、人間の能力を補完、向上あるいは新たに獲得を行う技術として、人間拡張に関する研究開発を行っている。舞の由来としては、日本の伝統芸能である能において、さりげない所作によってその後に続く物語が大きく展開していく様子になぞらえたという。

 さりげなく人に優しく寄り添う技術により、人の日常をもっと楽しく、快適で、ワクワクする体験に拡張することを目指している。具体的には、身体、知覚、認知、存在の異なる4つの能力を技術で拡張させ、幸せな人生“舞LIFE”の実現を図る。

舞をコンセプトに身体、知覚、認知、存在を拡張する[クリックして拡大]出所:京セラ

 京セラ 研究開発本部 フューチャーデザインラボ 所長の横山敦氏は「“舞”による日常生活では、身体的、精神的に健康になるQOL(クオリティーオブライフ)の向上、円滑な意思疎通を行うコミュニケーション、ワクワクする体験を実現するエンターテインメントやスポーツ、さらに生産性向上や柔軟な職場環境を実現するワークスタイルなどの分野で人に寄り添う技術により、人の能力を拡張し、新たな体験を可能にする。京セラの基盤技術である材料、デバイス、情報通信、医療ヘルスケア、モビリティと、他社やアカデミアとの協創であるオープンイノベーションを活用し、人間拡張の新規事業を開拓していく」と語る。

京セラ 研究開発本部 フューチャーデザインラボ 所長の横山氏 出所:京セラ

美しく正しい歩き方で“健幸”な生活

 身体の拡張を行う歩行センシング&コーチングシステムは、耳と手首、足首に付けた3つのセンサーで姿勢を高精度に計測し、スマートフォンでリアルタイムに解析する。音声による理想の歩き方に向けたアドバイスを受けることができる他、全身の姿勢から推定して作成した自身の歩行アニメーションや、AI(人工知能)による印象評価を確認できる。

 同システムは、京セラとワコールが共同で進めているスタイリングサービスに活用する計画だという。スタイリングサービスは自分自身の歩き方を知り、なりたい自分になるためのサービスであり、ワコールのファッションと京セラのテクノロジーを融合させることで、新しい価値の創出を目指している。

歩行センシング&コーチングシステムの概要[クリックして拡大]出所:京セラ
3つのセンサーで姿勢を推定(左)と、スマートフォンで歩行アニメーションなどを確認(右)[クリックして拡大]出所:京セラ

 同社 研究開発本部 フューチャーデザインラボ 主幹技師の村上エドワード氏は「普段の生活の中で正しい歩き方に変えてくれる“健幸”システムの実現を目指している。健”幸”としたは、身体と心の両面のウェルネスを意識したからだ。通常、全身の歩行計測はカメラを使う必要があったが、屋内、屋外問わず、センサーを付けるだけで高精度な歩行計測ができる」と話す。

 高齢化社会における健康ライフサポート、健常な状態から要介護状態になるまでの中間期間「フレイル」の予防用途も想定している。「将来的には、心身のレジリエンス拡張やメタバース、スポーツ、ゲームなどへの展開も考えている」(村上氏)。

京セラ 研究開発本部 フューチャーデザインラボ 主幹技師の村上氏 出所:京セラ
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