ATR(国際電気通信基礎技術研究所)は、人の脳波や筋電、モーションキャプチャーなどのデータ収集と、ヒューマノイドロボットによる学習実験を並行/連携して実施できる「ロボットスケートパーク」をメディア向けに公開した。
ATR(国際電気通信基礎技術研究所)は、人の脳波や筋電、モーションキャプチャーなどのデータ収集と、ヒューマノイドロボットによる学習実験を並行/連携して実施できる「ロボットスケートパーク」環境を整備した。2024年3月12日、そのロボットスケートパークにおいて、ATRが開発中の「サイボーグAI」を搭載したヒューマノイドロボットによるスケートボードの実演をメディア向けに公開した。
ATRは2003年からさまざまなアプローチで人とAI(人工知能)の共進化に向けた基盤技術の研究を重ねてきた。そして、これまでの研究成果の集約となる、世界初の試みである人とAI共進化を促すためのプラットフォームであるロボットスケートパークをATR施設内に整備した。
今回の取り組みは、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託事業「人と共に進化する次世代人工知能に関する技術開発事業」に基づき、人とロボットの共進化による運動能力の評価のための環境整備のために設置された。プロジェクト終了後も、先駆的/独創的研究の推進に活用する予定だという。
ロボットスケートパークが完成したのは2022年7月28日。鉄骨造の平屋建で約30×16×7m、延べ床面積は486.92m2(147.29坪)となる。総工費は1億2970万円だ。
ロボットスケートパークでは、人がスケートボードなどのスポーツを行う際に発する脳波や筋電の変位などとともにモーションキャプチャーも含めたデータ収集が可能で、これと並行/連携してヒューマノイドロボットによる学習実験も実施できるようになっている。
ATRは、このような環境を用いてロボットが人の動作から動きを学ぶなど、人とロボット、人とAIの共進化に向けたプラットフォーム構築を目指している。
昨今のAI技術開発は、実環境でデータを収集してから仮想環境を構築するという手続きを踏むことが多い。そして、構築した仮想環境でシステムを学習し、それを実環境にフィードバックして実装するというアプローチが主流になってきている。いわゆるデジタルツインやサイバーフィジカルシステム的な手法だ。ロボットスケートパークの取り組みも同様のコンセプトといえるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.