三菱電機は「CEATEC 2024」で2024年5月に発表した独自のデジタル基盤「Serendie」について説明し、その価値を訴えた。
三菱電機は、「CEATEC 2024」(2024年10月15〜18日、幕張メッセ)において、2024年5月に発表した独自のデジタル基盤「Serendie(セレンディ)」について説明し、その価値を訴えた。
三菱電機のSerendieは、三菱電機の各事業が保有するデータ基盤を統合し、共通でデータ分析を行うデータ分析基盤と、事業領域を横断したサービスを展開するWeb API連携基盤などから構成されている。CEATEC会場でSerendieについて説明した三菱電機 執行役員でDXイノベーションセンター センター長の朝日宣雄氏は「三菱電機では以前から事業領域それぞれでデジタル基盤を保有し、それを生かしたデジタルサービスを展開していたが、社会が大きく変化する中、データを事業部門の壁を越えて生かすことで新たな価値が提供できるようになる。そのために各事業部門のデータを持ち寄って活用できる基盤としてSerendieを作った」と位置付けについて語っている。
各事業で保有する豊富なデータをどのように価値につなげるべきかの正解は定まっていないため、さまざまな視点での検証が必要になる。そこで、新たな価値創出のために、顧客やパートナーともオープンな共創を進め、価値創出を進めていく方針を示している。朝日氏は「Serendieを推進するために技術マインドセットの変革にも取り組んでいる。従来のプロダクト中心の発想から顧客中心の発想へと転換するとともに、開発手法についてもウオーターフォール型に加えアジャイル開発を積極的に取り入れていく。また、事業モデルについてもサービスモデル型への切り替えを進めていく」と述べる。
Serendieの技術的な構成は、データ分析基盤でSnowflake、Web API連携基盤でMuleSoft、サブスクリプション管理基盤でZuora、顧客情報基盤としてはTreasure Dataを活用している。ただ、朝日氏は「Serendieは技術的なものだけではない」と主張する。「Serendieは、技術基盤だけでなく共創基盤、人材基盤、プロジェクト推進基盤などを1つにまとめたもので、決して技術だけのものではない。横浜市のリアル拠点で多様なコミュニティーで共創活動が行える『Serendie Street』など、さまざまな仕組みを用意している」と朝日氏は述べている。
既に鉄道のエネルギー最適化支援などで実績なども生まれてきているが、今後はSerendieを基盤として多くの知恵と情報が集まる場として定着を進めていくとともに、これらのデータを活用してより早く新たな価値につなげられるようにしていく方針だ。朝日氏は「まずは社内で活用し成果を生み出していくが、今後は社内外、国内外問わず、共創を進め、さまざまな観点で価値創出に取り組んでいく」と語っている。
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