三菱電機がデジタル基盤「Serendie」関連事業の戦略について説明。2030年度のSerendie関連事業の目標として、売上高で2023年度比71%増の1兆1000億円、営業利益率で同7ポイント増の23%を掲げるとともに、同事業の拡大を支えるDX人財の数を2023年度の6500人から約3倍となる2万人に増やす。
三菱電機は2024年7月11日、共創拠点「Serendie Street YDB」(横浜市神奈川区)で会見を開き、デジタル基盤「Serendie」関連事業の戦略について説明した。2030年度のSerendie関連事業の目標として、売上高で2023年度比71%増の1兆1000億円、営業利益率で同7ポイント増の23%を掲げるとともに、同事業の拡大を支えるDX(デジタルトランスフォーメーション)人財の数を2023年度の6500人から約3倍となる2万人に増やす。
Serendieは、三菱電機が2023年4月に設立したDXイノベーションセンターが中心になって構築したデジタル基盤である。Serendieを核に、多様な人材との出会いとさまざまなデータを基に得られた新たな気付きから、技術力と創造力により、将来に向けた新たな価値の持続的な創出を目指すとしており、その概要については2024年5月開催の経営戦略説明会「IR DAY 2024」で発表している。
DXイノベーションセンターやSerendieをはじめ三菱電機のデジタル戦略を担当する同社常務執行役 CDOの武田聡氏は「三菱電機の事業はさまざまな産業分野をカバーするハードウェアが中心だ。これらのハードウェアから収集できるデータを活用したサービスの提供は、各産業分野を担当するビジネスユニットが独自に行ってきた。しかし、それぞれが異なる基盤にデータを置いていることもあり、ビジネスユニットを超えて新たな価値を生み出すための掛け合わせなどはできていなかった。Serendieは、各ビジネスユニットが持つデータを集約できる共通のデジタル基盤であり、そこから新たに具体的な価値を持つソリューションを提供していく」と語る。
例えば、三菱電機は、FA機器や鉄道機器、昇降機/ビル管理など向けのハードウェアを展開しているが、現在それらのハードウェアは顧客からカーボンニュートラルへの対応が求められている。そこで、Serendieを通じて電力機器や空調機器のビジネスユニットとデータを連携できれば、エネルギー効率の最適化などが可能になる。Serendieは、FA×電力、ビル×空調×電力、鉄道×電力などの新たなソリューションを生み出す原動力になり得るわけだ。
その一方でSerendieは、各ビジネスユニットの事業を支えるハードウェアに機能を追加するなどして新たな付加価値を生み出す仕掛けになることも重視している。「それぞれのハードウェアをより賢く進化させることが最終的な狙いだ」(武田氏)という。
Serendieの技術基盤は、データ分析、WebAPI連携、サブスクリプション管理、顧客情報という4つの機能から構成されている。会見では、三菱電機 DXイノベーションセンター長の朝日宣雄氏をモデレーターとして、データプールのSnowflake、データ分析ツールのdataiku、WebAPI連携のMuleSoftの担当者が参加するパネルディスカッションが行われた。注目を集める生成AI(人工知能)への対応では、データを安心安全かつセキュアに扱う必要があり、3社ともそのための準備を進めていることを紹介した。また、Serendieをベースとする新たなソリューションのグローバル展開では、マルチクラウド/マルチテナントによってデータを各国/地域で明示的に持つことが重要という意見も聞かれた。
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