IFSジャパンは、東京都内で開催したユーザーイベント「IFS Connect Japan 2025」に併せて会見を開き、日本への投資計画などについて説明した。
IFSジャパンは2025年6月4日、東京都内で開催したユーザーイベント「IFS Connect Japan 2025」に併せて会見を開き、日本への投資計画などについて説明した。会見には、NEC 執行役 Corporate SEVP兼CDOの吉崎敏文氏が登壇し、「BlueStellar(ブルーステラ)」を中核とするNECのDX事業戦略においてIFSとの協業が重要な役割を担うことを強調した。
スウェーデンに本社を置くIFSは製造業向けにERPなどのソリューションを展開している。1983年に創業した後、1997年に日本法人を設立するなど日本国内での事業を展開してきた。IFSグループ COOのマイケル・オイッシ氏は「約30年にわたる日本での事業展開で長らく協業パートナーとなってきたのがNECだ」と語る。
現在IFSは、クラウドベースの「IFS Cloud」に基づいて製造業向けにさまざまなソリューションを展開している。早い段階からIFS CloudにAI(人工知能)の適用を進めてきたこともあり、自社を産業用AIのリーディングプロバイダーに位置付けている。「市場の平均成長率と比べて売上高の伸びは3倍を記録しており、直近3年間で企業評価額は150億ユーロに倍増するなど、われわれの戦略が正しかったと考えている。顧客数も増加しており、2025年第1四半期だけで約50社が顧客に加わった」(オイッシ氏)という。
2025年4月には新たなソリューションとして「IFS Nexus Black」を発表した。IFSの専門チームが業界ごとのコンテキストに合わせて短期間に最適なAIを作り上げていくリソース集約型の個別プログラムで、数日から数週間で顧客が利用できる形でAIを実装できるようになるという。
オイッシ氏は「IFSにとって日本はトッププライオリティの市場だ。今後も投資を続けるし、人材も採用する」と強調する。日本法人であるIFSジャパンは、2022年から2024年の3年間で、従業員数が85%増、売上高が30%増、受注額が58%増と大きく成長している。さらに2025年は、2024年から従業員数が27%増、売上高が60%増、受注額が83%増となる計画だ。2024年5月には、日本法人の人員拡大に合わせてオフィスを大手町に移転している。今後は、日本市場に合わせてカスタマイズを行うための製品開発、国内パートナーとの協業によるエコシステムの拡大、そして拡大する売上高と受注額に対応可能な人材拡充に向けて投資を行う方針である。
IFSは製造業向けを中心に事業を展開してきたが、今後は航空/防衛、エネルギー/公益/資源、テレコム、建設/エンジニアリング、サービス産業を含めた6つの産業分野に、高い評価を得てきた産業用AIソリューションを展開していく構えだ。適用するAI技術としては、10年前から取り組んできた予測型AIと加速度的に採用が広がる生成AI、そしてエージェント型AIの活用も進めていくという。
IFSの日本市場での事業展開で長く深い関係を築いてきたのがNECである。NECはこれまでIFSのソリューションを国内外の211社/380拠点に導入してきた実績がある。両社は2025年5月30日、新たな価値創造に向けて戦略的パートナーシップを強化を発表した。
NECの吉崎氏は「今後は日本市場向けの機能開発や、IFS Cloudのコンサルティングなどを推進する。また、NECの印西データセンター(千葉県印西市)にIFS Cloudを構築し、日本市場向けのソリューションを展開していきたい。IFS Cloudはモジュール化されていて使いやすいので、NECがBlueStellarの下で展開するエージェント型AIを組み合わせて提供することも可能だろう。独自性の高い『交渉AI』などが候補になる」と述べている。
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