製造業向けERPなどを展開するスウェーデンのIFSは、ERPなどのソリューションを手掛ける日本のワークスアプリケーションズと戦略的業務提携の契約を締結した。
製造業向けERPなどを展開するスウェーデンのIFSは2024年7月10日、ERPなどのソリューションを手掛ける日本のワークスアプリケーションズと戦略的業務提携の契約を締結したと都内の記者説明会で発表した。両社のプロダクト、ソリューションを組み合わせて柔軟性の高い顧客提案の実現を目指す。
IFSはスウェーデンの企業で、現在80カ国以上で製造や通信、エネルギー、航空宇宙、防衛、サービス産業などの企業を対象に、ERPに加えてサービスライフサイクル管理、設備管理資産、フィールドサービス管理のアプリケーションなどを提供している。日本企業では、トヨタ自動車やNEC、OKI、ダイフク、JALなどが顧客にいる。IFS CPO(最高製品責任者)のクリスチャン・ペターゼン氏は「市場の平均収益成長率と比較して3倍以上の成長を達成している」と語る。
IFSの強みとして、複数のサービスや機能を単一のアプリケーション上で動かせるようにしている点や、デジタルツイン、IoT(モノのインターネット)などの技術に加えてMESのシステムを自社プロダクトに取り込んでいる点などを挙げている。クラウド、オンプレミスの両方のニーズに対応する。
また、IFSは日本への戦略的な投資計画を発表している。国内製造業の市場を念頭にプロダクトのローカライズなどの施策を展開していくことで、2025年以降での大きな事業成長を見込んでいる。
今回発表したワークスアプリケーションズとの戦略的提携では、IFSの業界特化型ERPソリューションと、ワークスアプリケーションズの日本の商習慣に合わせて構築されたERPを併用したソリューション提案の実現を目指す。
コアとサブのERPを組み合わせる2層ERPやコンポーザブルERPの実現をキーワードに取り組みを進める。コストや柔軟性の点で、単一のERPを用いるよりメリットのある提案が可能になると見込む。ERPの完全な標準化と、脱アドオンを実現しつつ、日本に合わせたシステム導入が実現できるとしている。
ただし、IFSとワークスアプリケーションズではERP市場において競合する領域も一部ある。一方で、設備資産管理や固定資産管理など財務管理の領域では、互いのプロダクトを組みわせることで、顧客により大きな提供価値をもたらせるとして、「競争と共創」をテーマに共同で取り組むとした。
ペターゼン氏は「IFSとワークスアプリケーションズのパートナーシップは互いを補完し合うものだ。多様な領域で国内製造業がERPを簡単に使えるようになると考えている」と語った。
国内では「2025年の崖」として認識されているように、レガシーシステムの刷新が喫緊の課題となっているが、対応可能なエンジニアが不足しているという問題もある。これらを踏まえて、ワークスアプリケーションズ 代表取締役最高経営責任者の秦修氏は、「国産のERPベンダーとして誇りと自信を持って取り組んできたが、当社だけではリーチしきれない領域がある。IFSと手を結ぶことで顧客により広範な提案が可能になると考えている」と説明した。
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