本連載では、「加速するデータ共有圏:Catena-XやManufacturing-Xなどの最新動向と日本への産業へのインパクト」をテーマとして、データ共有圏の動向やインパクト、IDSA、GAIA-X、Catena-X、Manufacturing-Xなどの鍵となる取り組みを解説していく。今回は第3回としてIDSAを紹介する。
本連載では、「加速するデータ共有圏(Data space):Catena-XやManufacturing-Xなどの最新動向と日本への産業へのインパクト」をテーマとして、データ共有圏の動向やインパクト、IDSA(International Data Space Association)、GAIA-X、Catena-X、Manufacturing-Xなどの鍵となる取り組みを解説していく。今回は第3回としてIDSAを紹介する。
→連載「加速するデータ共有圏と日本へのインパクト」バックナンバー
データ共有圏とは、Data Space(データスペース)とも呼ばれている。データを共有、交換する際、従来はプラットフォーム(PF)を介したデータ共有であり、提供されたデータの活用やマネタイズについてはプラットフォーム側が実施しており、データ所有者が関与できないものであった。
一方で、現在欧州発で検討が進むデータ共有圏(Data Space)については、データの出し手と受け手をコネクターで直接つなぐ分散型の共有となる。コネクターを活用し、データ所有者と利用者が直接データ共有を実施する。データ主権が担保され、データ所有者が「他者がデータをどのように、いつ、いくらで利用できるかを自己決定することができる」のが特徴だ。
データ共有圏では多くの組織が動いている。連載の中でそれぞれの組織の動向は詳述するが、ここでは大きくその位置付けを示したい。まず主要な組織としては2つに分かれる。業界共通での仕組みづくりを担うのがIDSA(International Data Space Association)、GAIA-Xだ。
その土台の上に、自動車業界ではCatena-X、製造業全般においてはManufacturing-Xなど業界ごとの仕組みづくりを担う組織の活動がある。後述するCofinity-Xは位置付けが他と異なり、Catena-Xの仕組みの上で個別のソリューションを展開するサービス企業だ。その中で、本記事で詳述するのがInternational Data Space Association(IDSA)だ。
2014年にドイツのフラウンフォーファー研究所が「Industrial Data Space(IDS)プロジェクト」を開始し、2015年にInternational data spacesに改称。2017年にデータ共有のための標準やルール、アーキテクチャを策定する非営利組織として設立された。現在では、28カ国の150を超える企業や組織が加入している。IDSAのボードメンバーとしては、フラウンフォーファー研究所、FIWARE、フォルクスワーゲン、マイクロソフト、ドイツテレコム、PwC、Atos、SICK、TNO、NTTコミュニケーションズなどが名を連ねている。
欧州をはじめ世界中の国にハブを拡大しており、データ主権の意識の醸成や、知識の伝達、IDSAメンバーの募集、IDSベースのアプリケーションの普及を目的に国境を超えてIDS標準を広げる仲間づくりを行っている。欧州外では、日本は東京大学とDSA(Data Society Alliance)がIDSAハブとして連携している他、マレーシアのIDSAハブではDigital Connect Society(DCS)が、中国のIDSAコンピテンスセンターではChina Future Internet Engineering Center(CFIEC)が、IDSA リサーチラボ中国では上海交通大学がパートナーとして連携している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.