IDSAは「データ主権(Data Sovereignty)」について「バリューチェーン全体において、他者がそれをどのように、いつ、いくらで利用できるかを自己決定すること(self-determine how, when and at what price others may use it across the value chain)」と定義している。データスペースにおいてデータ主権の考えはその基盤をなす重要なコンセプトだ。
データ連携は従来のオペレーションや価値から変化するものであり、データ連携に関連して新たなプレイヤーが生まれる。IDSAはデータ連携における各プレイヤーの役割を下記の通り定義している。
(1)データ所有者と データプロバイダー |
データプロバイダーは、IDSコネクターを介して所有者のデータをデータスペースに転送する。これにより、誰が、いつ、どのように、なぜ、どのような価格でデータを使用するかを制御しながら、データを使用できるようになる |
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(2)IDSコネクター | IDSコネクターは、参加者がデータ空間内のデータに使用ポリシーを添付し、使用ポリシーを強制し、データの出所をシームレスに追跡できるようにする専用のソフトウェアコンポーネント。コネクターは、データとサービスのゲートウェイとして、またアプリとソフトウェアの信頼できる環境として機能する(下図も参照) |
(3)データユーザーと データコンシューマー |
データコンシューマーは、ユーザーに代わってデータを処理する。データは、データプロバイダーの使用ポリシーに従って、データの品質と信頼性に自信を持って提供される |
(4)アプリケーション | IDSコネクターの信頼できる環境内のAppストアから実行される。アプリは、データのトランザクション、集計、分析などのタスクを実行する |
(5)Appストア | Appストアは、変換、集計、データ分析などのタスクを実行するためにIDSコネクターにデプロイできるアプリケーションを提供する |
(6)ブローカー | コンテンツ、構造の品質、通貨、その他の機能の観点からデータソースに関する情報を提供する |
(7)クリーニングハウス | クリーニングハウスは、IDS内の全てのデータ交換および金融取引の清算および決済サービス |
(8)IDプロバイダー | IDSの参加者のID情報およびIDSの参加者のためのID情報を作成、維持、管理、検証 |
(9)ボキャブラリー | 受け入れられたベストプラクティスに基づいて標準化されたデータの記述子を提供する |
(10)データスペース | 主権のあるデータ交換が行われる場所。IDS標準により、相互に合意されたルールに基づいて、認定されたデータプロバイダーと受信者の間で信頼できるデータ交換が可能となる。データ空間は協力を向上させ、参入障壁を下げ、イノベーションを強化する |
IDSAはデータスペースのユースケースを「Data Space Radar」として公開している。IDSAが認証しているデータスペースは、データ主権が担保されたデータ交換、認証、ガバナンスのためのIDSA標準によって管理されたプロジェクトだ。領域(サプライチェーン、スマートシティー、製造、エネルギー、モビリティ、自動車、クロスドメイン)や、成熟度に応じて分類されている。
データ連携はあくまでビジネスやオペレーション上の手段であり、技術や方法で議論しては検討が進まない。どのような目的で、どのようにデータ連携を活用しているかが重要となる。Dara Space Radarでのユースケースを詳しく見ていきたい。
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