廃棄物処理を可視化する資源循環プラットフォームの提供をスタートリサイクルニュース

伊藤忠テクノソリューションズは、廃棄物処理を可視化する資源循環プラットフォーム「StateEco(ステートエコ)」の提供を2024年6月27日に開始した。

» 2024年07月01日 06時30分 公開
[遠藤和宏MONOist]

 伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は2024年6月27日、廃棄物処理を可視化する資源循環プラットフォーム「StateEco(ステートエコ)」の提供を同日から開始すると発表した。同社は廃棄物処理の代行事業者とともに、家具/インテリア業界を中心にこのサービスを展開する。

今後はAIを活用した経路の最適化機能などを拡充

 StateEcoは、製造業者に加え、産業廃棄物の排出、運搬、処理の各事業者をつなぐ資源循環プラットフォームサービスだ。廃棄物の処理状況や再資源となる金属類や繊維くずなどの廃棄物を可視化して、処理を効率化することで再利用の促進につなげる。運搬時のCO2排出量や製品の再資源となる割合も一覧化でき、環境負荷の低減を目的とした情報開示にも使える。同社は設計から構築、運用までを一貫して提供する。

廃棄物処理の可視化プラットフォーム「StateEco」のサービス概要図 廃棄物処理の可視化プラットフォーム「StateEco」のサービス概要図[クリックで拡大] 出所:伊藤忠テクノソリューションズ

 さらに、伊藤忠メタルズの電子マニフェストサービス「Smart.i∞(スマートアイ)」を利用して、排出、収集運搬、処理の各事業者に対して、産業廃棄物の処理に必要とされる、電子マニフェストの申請業務も代行。StateEcoのデータと電子マニフェストを連携することで入力業務を効率化し、申請から処理完了までの迅速化を図る。

 また、インテリア系大型商品の配送を行う、CTCが出資する物流のTriValueが、廃棄物の種類に適した収集/処理事業者とのマッチングを進め、産業廃棄物の管理業者も代行する。

 サービスの提供に先立ち、CTCは、2023年6月から家具インテリア リサイクル&リニュー協議会(以下、R&R協議会)の参画企業と廃棄ベッドマットレス処理の可視化に関するStateEcoの実証実験を行ってきた。結果として鉄の抽出量で13%の増加、収集回数で60%の削減、運搬時のCO2排出量で35%の削減という定量的な効果が得られ、StateEcoのプラットフォームとしての有用性も確認した。

 今後CTCは、AI(人工知能)を活用した経路の最適化や、情報開示につながるレポートの整備なども含めてStateEcoの機能を拡充していく。

開発背景

 近年、国内では天然資源の消費の抑制や環境への負荷の低減を目的に「循環型社会」の形成が求められており、大量生産や大量廃棄による負荷の低減のために廃棄物の再利用を促進する仕組みが必要とされている。

 それに伴い、製品の製造でも、廃棄やリサイクルに至るまで責任を持つような「拡大生産者責任」という考え方が広がりをみせている。しかし、産業廃棄物については、運搬や解体、分別/処理に加え、正しい情報の把握や伝達のために管理業務が煩雑化する傾向にある。また、廃棄物の処理状況に関する情報が関連する事業者間で適切に把握されていない他、CO2排出量削減には各事業者間の連携が不可欠であるという課題がある。そこで、CTCはStateEcoを開発した。

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