ナブテスコが、同社の売上高の約3分の1を占める自動ドアを中核としたアクセシビリティソリューションにおけるデータマネタイゼーションの取り組みを紹介した。
国内における建物用自動ドア市場において、ナブテスコのシェアは55%でトップとなっている。これまで、アクセシビリティソリューションの事業におけるデータ活用は、自動ドアのセンサーデータなどを用いたメンテナンスの高度化などが中心だった。ナブテスコ 住環境カンパニー 新事業推進部長の黒須昭仁氏は「これとは別に、自動ドアを起点に新たな収益源となるデータマネタイゼーションを検討するためにクニエの協力を得た」と語る。
最初に行ったのが、入口に設置される自動ドアというロケーションの視認性の高さを活用した広告ビジネスだ。2024年3月から、デジタルサイネージ一体型自動ドアによる広告配信事業を開始しているが、そのターゲットは大学の学生向けに絞り込んでいる。学内の入り口の自動ドアにデジタルサイネージを設置することで、特定の大学やキャンパス単位でのターゲティングが可能なことや、その視認性や認知効果の高さ、ドアセンサーを活用した広告効果測定などが特徴だ。既に早稲田大学の早稲田キャンパス、神戸市外国語大学に設置しており、2024年度内に5大学/キャンパスに導入を広げていきたい考えだ。
クニエとは自動ドアのセンサーデータによるデータマネタイゼーションを検討しており、現在は抽出したアイデアから1つのテーマについて社内検討を進めている所で、今後の検証フェーズに移行する計画である。
サイキンソーは、国内最大規模となる12万検体の腸内フローラデータを匿名化して提供している「Cykinsoデータ分譲サービス」の事業拡大に関する取り組みを紹介した。
腸内フローラ検査「マイキンソー」を提供するサイキンソーは、便に含まれる細菌の遺伝子を網羅的に解析することで腸内環境を可視化できることを強みとしている。このマイキンソーのデータから、日本人健常人5万6312検体の匿名加工情報を提供するのがCykinsoデータ分譲サービスだ。
サイキンソー Chief Analytics Officer 知財戦略室 室長の渡辺諭史氏は「研究分野ではCykinsoデータ分譲サービスの活用が進んでいたが、腸活商品開発などの産業応用での糸口がつかめずにいた。また、ターゲットとなる業種、職種も選定できていなかった。そこで、保有データの見直しと収益源の創出に向けてクニエの協力を得た」と語る。
実際に、産業応用に向けたターゲットの整理や新たなニーズの発掘といった成果に加え、保有データの付加価値を高めるために追加パネル調査を実施して、より詳細にカスタマイズしたデータの提供が可能になったという。
今後は、腸活商品メーカーとの協業などにより、腸内フローラデータを提供するマイキンソーのユーザーに最適な腸活商品を提案するなど、腸活補完エコシステムの形成につなげていきたい考えだ。
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