クニエが「データマネタイゼーション・アイデア抽出サービス」の提供を開始する。企業の保有データから新規ビジネスの可能性を抽出/一覧化し、事業化の可能性評価、有望アイデアの選定を支援するコンサルティングサービスだ。ナブテスコとサイキンソーも同サービスを採用している。
クニエは2024年6月17日、東京都内で会見を開き、「データマネタイゼーション・アイデア抽出サービス」の提供を開始すると発表した。企業が保有するさまざまなデータを用いて事業化/収益化する「データマネタイゼーション」のプロセスのうち、企業の保有データから新規ビジネスの可能性を抽出/一覧化し、事業化の可能性評価、有望アイデアの選定を支援するコンサルティングサービスとなる。対象となるデータなどの条件により異なるものの、期間は1カ月半から、費用は500万円から。既に4社が同サービスを先行利用しており、今後1〜2年で顧客数を20社まで拡大したい考え。会見には、クニエのデータマネタイゼーション関連サービスを活用しているナブテスコとサイキンソーも登壇して取り組み事例を紹介した。
製造業におけるIoT(モノのインターネット)活用をはじめ、AI(人工知能)への応用も含めてデータ活用への注目が集まっている。クニエ 新規事業戦略担当 シニアマネージャーの天野秀俊氏は「業務の高度化/効率化をテーマにしたデータ活用は既に多く行われているが、現在経営者が求めているのは新たな収益源を創出するためのデータ活用であり、これをデータマネタイゼーションと定義している」と語る。
データマネタイゼーションの世界市場は今後も拡大する見込みで、2022年の29億米ドルから2030年には124.6億米ドル、2035年には303.6億米ドルに成長するという調査結果もある。また、アリババ(Alibaba)の「芝麻信用(Zhima Credit)」やアマゾン(Amazon.com)の「Amazon Lending」といったデータマネタイゼーションの成功モデルも知られており、日本国内でもNTTドコモの「モバイル空間統計」やホンダの「Honda Drive Data Service」、エブリセンスの「Every Sense」といった事例も出ている。
しかしながら、データマネタイゼーションを事業化/収益化するのは容易ではない。2022年ごろから新事業開発のデータマネタイゼーションに関するコンサルティングに取り組んできたクニエの調査によれば、データマネタイゼーションを事業化できたのは35%、収益化できたのは15%にとどまる。
天野氏は「2000〜2010年にかけて北米西海岸発祥のITサービス企業が多数登場した際に、日本の大企業の多くが新規事業部門を設立し、デザイン思考などに基づくニーズ視点で新規事業を立ち上げようとした。しかし現在では、日本の大企業においてウオーターフォール型のビジネス開発が求められることもあり、アセット起点の新規事業開発にシフトしつつある。アセットの中でも規模が急拡大しているのがデータだ。データマネタイゼーションの事業化/収益化を日本の大企業で成功させるには、それに適したサービスが必要だ」と説明する。
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