矢野経済研究所はADASや自動運転システム向けのセンサーのグローバル市場の調査結果を発表した。
矢野経済研究所は2024年6月10日、ADAS(先進運転支援システム)や自動運転システム向けのセンサーのグローバル市場の調査結果を発表した。
2024年の市場規模は金額ベースで前年比3.7%増の1兆6051億円に拡大すると見込む。また、レベル2+のADASの搭載が増えることで市場をけん引し、カメラやレーダーの出荷数は2027〜2029年にかけて拡大すると予測している。
ADASや自動運転システム向けのセンサーは、日米欧で緊急自動ブレーキの標準搭載化に合わせて市場の拡大が進んできた。中国市場でも搭載車種が増加しているという。2023年のセンサー市場の内訳は、77GHz帯のミリ波レーダーと24GHz帯の準ミリ波レーダーを含むレーダーが4562億円、カメラが9356億円となっている。
2025年以降はカメラの高画素化が進展する。現行モデルのADAS用カメラの画素数は1.7M〜5.4MP(メガピクセル)が中心だが、8MPのカメラの搭載が日米欧中で拡大する。8MPのカメラで視野角を120度とすることが可能になり、認識性能が高まりさらなる安全性の向上が期待できるとしている。既に日欧中の自動車メーカーの一部車種で採用が始まっている。
一般道のレベル2の自動運転や、バレーパーキングアシストを実現するため、前方だけでなく側方や後方にも高性能なカメラを搭載した車両の投入が中国市場で活発化しているという。2024〜2026年にEV(電気自動車)の高級モデルを中心にこうした運転支援機能の市場が形成され、出荷数量を押し上げるとしている。
ADASや自動運転システム向けセンサーの2030年の市場規模は、出荷金額ベースで3兆6929億円に成長すると見込む。ADASの搭載率は日米欧で100%近くに達し、中国でも80%を超えると予測する。ASEANやインド向けの需要も2028年以降に本格的に立ち上がり、センサーの出荷数量は堅調に推移するとしている。
NCAP(新車アセスメント)への対応でレーダーの搭載数も増える傾向にある。交差点を想定した緊急自動ブレーキの評価試験は既に欧州のユーロNCAPで導入されているが、日本や中国でも2024年から実施される予定だ。車両だけでなく歩行者や自転車なども検知対象となるため、右左折時や出会い頭の障害物検知を強化する目的で車両のコーナーでのレーダー装着率が上昇。レーダーの市場規模は2030年に1兆940億円に達する予測だ。
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