三菱重工業ら4社は、製鉄所の高炉におけるCO2回収技術「Advanced KM CDR Process」の実証実験を開始した。アルセロール・ミタルが保有する、ゲント製鉄所の高炉にCO2回収装置を設置して、1〜2年間稼働する。
三菱重工業は2024年5月21日、製鉄所の高炉におけるCO2回収技術「Advanced KM CDR Process」の実証実験を開始したと発表した。
同実験には、三菱重工業とアルセロール・ミタル、BHP、Mitsubishi Developmentの4社が参画している。アルセロール・ミタルが保有する、ベルギー・ゲント製鉄所の高炉にCO2回収装置を設置して1〜2年間稼働する計画だ。
Advanced KM CDR Processは、三菱重工業が関西電力と共同開発した独自技術。実装により、ゲント製鉄所から排出されるCO2の大半を回収できると見込まれる。
実験では、第1段階で高炉ガスから1日当たり約0.3トン(t)のCO2を分離して回収し、高炉ガス中の不純物への対応を検討する。第2段階では、混合ガスを熱源とする圧延再加熱炉排ガスからCO2の分離、回収を試みる。
また、同実証実験と北海地域で開発中のCO2輸送、貯留プロジェクトを連動することで、鉄鋼業界における脱炭素化技術をグローバルに適用可能になることが期待される。
4社は、2022年にCO2回収技術の適用に関する協業契約を締結。2024年1月から、ゲント製鉄所でCO2回収装置の組み立てを進めていた。将来的には、直接還元製鉄(DRI:Direct Reduced Iron)設備のリフォーマー排ガスからの回収も計画しており、CO2発生の抑制が困難とされる鉄鋼業界の脱炭素化を目指す。
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