パナソニック ホールディングスは、東京都内でセミナーを開き、「CES 2025」で披露した注目の製品を紹介した。
パナソニック ホールディングス(HD)は2025年2月21日、東京都内でセミナーを開き、エレクトロニクスを中心とした最先端テクノロジーの展示会である「CES 2025」(2025年1月7~10日、米国ネバダ州ラスベガス)で披露した、ブロックチェーンシステム「Tracephere(トレースフィア)」や「エネルギーマネジメントシステム(EMS)セキュリティ監視システム」、セルロースファイバーエコマテリアル「kinari(キナリ)」について紹介した。
CES2025で初披露となったTracephereは、ブロックチェーン技術を用いて作成された代替不可能なデジタルデータ「NFT(Non-Fungible Token)」を活用したシステムで、対象製品の流通経路や資源循環の流れを証明できる。
パナソニックHD 技術部門 DX・CPS本部 デジタル・AI技術センター セキュリティソリューション部 主幹の山本格也氏は「Tracephereは、利用店舗や資源循環の工程ごとに、デジタル証明書として対象製品のNFTを生成する。そのためこれらのNFTにより、利用店舗や資源循環のプロセスをトレースできる。Tracephere上で、NFTをクリックすると対象製品の使用材料や工程におけるCO2排出量、そのNFTの前に生成された『元NFT』の情報を確かめられ、流通経路や資源循環のプロセスを調べられる。TracephereのNFTはCO2排出量も見える化するため、CFP(CO2排出量の積算値)のデジタル証明書にもなる」と語った。
加えて、対象製品が資源循環の過程でプラスチックや金属などに分別されたり、他の素材が混ぜられたりしても、各工程で生成されたNFTにより原料をトレース可能だ。
パナソニックは、オリックス環境、コープさっぽろ、PwC、みずほリサーチ&テクノロジーズ、東京製鐵、日本通運、三井住友トラスト・パナソニックファイナンス(SMTPFC)、三井物産などとともに、環境省の「令和5年度デジタル技術を活用した脱炭素型2R ビジネス構築等促進に関する実証・検証」で、Tracephereを用いてLED照明器具の循環リサイクルを実証。
この実証では、LED照明器具、店舗Aでの利用、店舗Bでの再利用、回収、鉄や樹脂の再資源化、再生した資源によるLED照明器具の製造といった流れを、TracephereのNFTで証明した。
各社の役割に関して、オリックス環境は中間処理リサイクラーを、コープさっぽろはLED照明器具の利用店と再利用店を、PwCはビジネスモデルの検討を、みずほリサーチ&テクノロジーズはライフサイクルアセスメント(LCA)のシナリオ設計を、東京製鐵は鉄のリサイクルを、SMTPFCはLED照明器具のリースを、パナソニックはLED照明器具の製造と同実証のリードを担った。
山本氏は「Tracephereを数年以内に事業化したい。例えば、再生プラスチック製品を対象に展開し、Tracephereで流通経路や資源循環の流れを証明できるようにする。これによりユーザーは原料やサプライチェーンなどを証明可能となり、再生プラスチック製品の価値をより高められる可能性がある」と展望を明かした。
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