産業技術総合研究所は、汎用の熱交換器で水素の吸蔵、放出時の熱管理ができる、水素吸蔵合金タンクを開発した。従来よりも低コストの水素吸蔵合金タンクが設計可能になるため、タンクの導入拡大に寄与する。
産業技術総合研究所(産総研)は2025年3月17日、汎用の熱交換器で水素の吸蔵、放出時の熱管理ができる、水素吸蔵合金タンクを開発したと発表した。清水建設と共同開発したもので、従来よりも低コストの水素吸蔵合金タンクが設計可能になる。
水素はCO2を排出しないクリーンで持続可能なエネルギーとして期待されているが、製造と貯蔵にかかるコストが課題となっている。貯蔵については、安全性の高い水素吸蔵合金タンクの社会実装が進んでいる。
今回の研究では、都市部での導入拡大に向けて、空調機器などで用いる汎用の熱交換器を水素吸蔵合金タンクに転用。熱媒シミュレーションを活用して熱媒流路を制御することで、一般使用上の性能の下限値よりも遅い流速でも、水素吸蔵合金タンクの要求スペックを満たすことができた。
また、従来は水素吸蔵合金タンクへ水素を導入する際、専用のフィルター管を使用していたが、面的に水素を導入する拡散板を合金充填層に採用した。この水素拡散板は量産が容易で、かつ高水素流量での吸蔵、放出の運用に対応する。
開発した水素吸蔵合金タンクは、産総研、清水建設、東京都港湾局と他3者による共同プロジェクト「水素を活用した臨海副都心の脱炭素化に資する共同研究」で、地下熱供給プラントに導入している。これをベースとし、2025年度より水素混焼ボイラーを活用した地域熱供給の社会実装プロジェクトを推進する。
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