積水化学工業は、自動車の塗装に用いる「塗料転写シート」を開発した。シート化した塗料を転写することで塗装ができるため、塗装工程におけるCO2排出量を削減できる。
積水化学工業は2024年5月21日、自動車の塗装に用いる「塗料転写シート」を発表した。塗装の品質を保持したまま、塗装工程におけるCO2排出量を削減できる。
塗料転写シートは、通常塗装と同じ数十μmの厚さに膜化した塗料層を、転写フィルムと支持フィルムで挟んだ構成となっている。このシート化した塗料を転写することで、塗装ができる。
具体的には、支持フィルムを剥がした後、被塗物にシートを貼り付けて転写フィルムを剥離する。熱などにより塗料層に硬化処理を施すと、新車塗料と同等の硬化条件で自動車外装のスペックを満たす塗膜が完成する。
シートはロール状態で保管し、塗料層にさまざまな塗料を使用できる。貼り付けは、手で貼る以外に、真空成形やTOM(Three dimension Overlay Method)工法を適用できる。
同開発品を用いることで、通常の塗装工程における塗装ブースやプレヒート、廃液処理などで発生するCO2を削減できる。マルチトーンやライン意匠など、複数回の塗装工程を必要とするデザインにおいて、より高いCO2削減効果が見込まれる。
同社は2026年の商品化を目指し、量産技術や貼り付け技術、低温硬化技術の確立を進めている。
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