積水化学工業は、ArcelorMittalと共同で進めていたCCU技術の開発で、CCU炭素循環鉄鋼プロセスを検証した。その結果、二酸化炭素転化率90%および水素転化率75%と、最終目標を上回る結果を得た。
積水化学工業は2023年6月14日、ArcelorMittal(アルセロール・ミタル)と共同で進めていたCCU(Carbon dioxide Capture and Utilization)技術の開発で、CO2転化率と水素転化率の目標を、予定より早く達成したと発表した。
両社は、新エネルギー・産業技術総合開発機構の委託を受け、2021年から3年間の予定で「鉄鋼プロセスに活用するCCU技術の国際共同研究開発」に取り組んでいた。
積水化学工業によると、鉄鉱石から銑鉄を作る高炉プロセスで排出されるCO2の量は、鉄鋼業のCO2排出量の約7割を占めている。
同研究項目の1つである「積水化学独自ケミカルルーピング技術による合成ガス製造基盤技術の開発」では、高炉プロセスで排出されるガスからCO2を回収し、化学プロセスを用いて一酸化炭素(CO)と水素(H2)からなる合成ガスに変換する。得られた合成ガスは高炉に戻し、コークスの代替として鉄鉱石の還元剤に用いる。
このCCU炭素循環鉄鋼プロセスを、スペインにあるArcelorMittalのアストゥリアス工場で検証。その結果、最終目標としていたCO2転化率85%以上、水素転化率60%以上を上回る、CO2転化率90%および水素転化率75%の結果を得た。
両社は商用化に向け、さらに高い反応収率での長期試験やスケールアップ実証に取り組む。また、実証のための新規プロジェクトを立ち上げる予定だ。
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