若手エンジニアにありがちな強度設計ミス【後編】設備設計現場のあるあるトラブルとその解決策(2)(3/3 ページ)

» 2024年05月31日 07時00分 公開
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6.たわみを考慮していない

 強度設計そのものの話とは内容が若干それますが、強度設計の内容と同時にぜひ押さえておきたいのが「たわみ」です。というのも、強度計算で問題なかったとしても、たわみが大きければNGになるケースが多いからです。

 例えば、アクチュエータを使って動作させる部品のたわみが大きいと、動作させるたびにその部品が振動することになります。この振動は繰り返し応力による疲労破壊の原因になったり、異音の発生原因になったり、アクチュエータの動作不良を引き起こしたりします。

 また、吸着パッドを使ってワークを吸着/搬送するような装置では、ワークがたわんでいると吸着パッドとの間に隙間ができてしまい、うまく吸着できないといったリスクが生じる可能性があります。

たわみを考慮しないと、さまざまな問題を引き起こしてしまう可能性がある 図2 たわみを考慮しないと、さまざまな問題を引き起こしてしまう可能性がある[クリックで拡大]

 実際のところ、許容たわみの基準値を明確に示している設計現場はほとんどありませんが、筆者が今まで多くの設計者と議論してきた経験からすると、基本的に1mmオーダ以上はNG、0.1mmオーダは主要部品でなければOKの場合があり、0.01mmオーダなら基本的にOKと判断する方が多い印象です。もちろん、高精度な位置決め/動作を要求する部品であればもっと厳しい値を要求することもありますので、目的や機能に応じて目安の値を判断いただければと思います。

 図面の情報やCADの画面に頼り切って設計していると、ついつい重力の存在を忘れがちですが、設計した部品が実物として完成した際の状況をしっかりと頭でイメージしながら設計することが非常に重要です。

 ちなみに、たわみ計算をする際、材料力学で学んだような簡単な梁(はり)のモデルに置き換えて手計算をする場面は設計現場でも多いのですが、架台やフレームなどの計算となると手計算では困難です。そのため、機械設計者であっても3Dモデルを使って静解析ができる程度の解析スキルは身に付けておきたいところです。 (次回へ続く

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筆者プロフィール:

りびぃ

りびぃ
ものづくりのススメ」サイト運営者

2015年、大手設備メーカーの機械設計職に従事。2020年にベンチャーの設備メーカーで機械設計職に従事するとともに、同年から副業として機械設計のための学習ブログ「ものづくりのススメ」の運営をスタートさせる。2022年から機械設計会社で設計職を担当している。

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