リンテックは、半導体ウエハーに形成したバンプと呼ばれる基板接続用の突起電極を樹脂で保護することで、半導体チップの耐久性や信頼性を向上させるバンプ保護フィルムを開発し、2024年5月1日に発売したと発表した。
リンテックは2024年5月2日、半導体ウエハーに形成したバンプと呼ばれる基板接続用の突起電極を樹脂で保護することで、半導体チップの耐久性や信頼性を向上させるバンプ保護フィルムを開発したと発表した。同月1日からバンプ保護フィルムの本格販売を開始する。
電子機器の小型化、軽量化、高機能化が進む中、搭載される半導体パッケージにも小型/軽量化や基板への高密度実装が求められている。これを受けて、近年は「Wafer Level Chip Scale Package(WLCSP)」と呼ばれるパッケージング技術が注目されている。
従来のパッケージング工程では、ウエハーの切断を行った後に取り出した半導体チップを基板に固定して、ワイヤ接続や樹脂封止などを行うのに対し、WLCSPはウエハー上でこうしたパッケージ処理を実施して、最終的にウエハーを切断した後、基板に直接チップを実装する。これにより、チップの大きさがそのままパッケージとなり、小型化/軽量化を実現できることから、スマートフォンやPCにもWLCSPの技術が採用されている。
WLCSPは構造上、基板接続用の電極として突起状のバンプが形成されており、熱による変形や応力などの負荷が掛かると、この部分にクラック(亀裂)が生じる。そこで、リンテックでは突起状の電極を樹脂で保護することでこれを抑制し、半導体チップの耐久性や信頼性を向上させるバンプ保護フィルムを開発した。
今回のバンプ保護フィルムは、温度によって樹脂の粘度が変化する設計になっており、バンプを形成した回路面に加熱しながら貼り付けることで、空気が入ることなく凹凸面に追従させることが可能だ。このフィルムはバックグラインド(ウエハー裏面を研削し、薄型化する)工程の際に表面を保護し、研削水/研削くずの浸入による回路面の汚染を防ぐ機能も兼ね備えている。
バックグラインド工程の後、このフィルムの表層を剥がすとバンプを保護する樹脂のみが残る仕様になっている。新たな装置の導入や製造プロセスの変更を必要とせず、フィルム自体はバンプの形状や大きさの違いに応じたカスタマイズにも対応している。
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