城東テクノが高い柔軟性と強度を持ち“JIZAI”な造形が可能なPPを開発材料技術

城東テクノは3Dプリンタ用ポリプロピレン「JIZAI」を開発したと発表した。

» 2024年04月09日 09時30分 公開
[遠藤和宏MONOist]

 住宅建材メーカーである城東テクノは2024年4月8日、3Dプリンタ用ポリプロピレン(PP)「JIZAI」を開発したと発表した。

酸、アルカリ、有機溶剤など幅広い薬品に耐性を持つ

 JIZAIは熱可塑性樹脂を加熱溶融させノズルより出力させながら重ねて積層することで立体を造形する方式「MEX方式」に最適化された材料だ。同材料は、従来の3Dプリンタ用PPよりも造形物の反りを抑えられる。そのため、これまでのPPでは造形時に大きな反りが発生し適用できなかった形状にも対応する。

「JIZAI」のフィラメント形状(左)とペレット形状(右) 「JIZAI」のフィラメント形状(左)とペレット形状(右)[クリックで拡大] 出所:城東テクノ
「JIZAI」(左)と従来品(右)の反りを比較 「JIZAI」(左)と従来品(右)の反りを比較[クリックで拡大] 出所:城東テクノ
「JIZAI」(左)と従来品(右)の反りを比較し、従来品は途中で造形失敗 「JIZAI」(左)と従来品(右)の反りを比較し、従来品は途中で造形失敗[クリックで拡大] 出所:城東テクノ

 さらに、適度な強度と柔軟性を併せ持っているため、例えばヒンジ構造のような強度と柔軟性が必要なパーツの試作品をJIZAIで3Dプリントし、その使用感を確かめられる。現在さまざまな3Dプリントで使用されるポリ乳酸(PLA)は柔軟性が低いためヒンジのようなパーツに適用できないが、JIZAIなら繰り返し曲げても割れない試作品を作れる。

「JIZAI」はヒンジ構造の造形にも対応 「JIZAI」はヒンジ構造の造形にも対応[クリックで拡大] 出所:城東テクノ

 また、酸、アルカリ、有機溶剤など幅広い薬品に耐性がある。これにより、薬品を入れる容器や薬品が触れるパーツなどに使える。この性質は、3Dプリントで広く使用されているアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂にはない性質だ。

 加えて、毎秒500mmの高速造形に対応する他、浮いた部分を支えるサポート材を3Dプリント後に剥がしやすい。

JIZAIの開発背景

 同社は木造住宅の基礎部材「キソパッキン」を開発/製造している。この部材はPPと炭酸カルシウムの樹脂複合材が原料で、600万棟以上の木造住宅に採用されている。キソパッキンで導入されている樹脂の配合と混練のコア技術をベースにJIZAIを開発した。なお、JIZAIの名前は3Dプリンタで自由自在に造形できることに由来している。

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