甲州ぶどうの搾りかすとPPを組み合わせた化粧品容器、着色なしでぶどう色インターフェックスWeek 2023

大成化工は、「インターフェックスWeek東京2023」で、甲州ぶどうの搾りかすとポリプロピレン(PP)あるいはバイオPPを組み合わせたバイオプラスチックを活用した化粧品容器の試作品を披露した。

» 2023年07月07日 10時30分 公開
[遠藤和宏MONOist]

 大成化工は、「インターフェックスWeek東京2023」(2023年7月5〜7日、東京ビッグサイト)内の「第25回 インターフェックスジャパン 医薬品/化粧品製造展」に出展した。会場では、甲州ぶどうの搾りかすとポリプロピレン(PP)あるいはバイオPPを組み合わせたバイオプラスチックを活用した化粧品容器、竹材とバイオポリエチレン(PE)を混合したバイオプラスチックを用いた化粧品容器、木材と生分解性樹脂を混ぜたバイオプラスチックを活用した化粧品容器の試作品を参考出品した。

構成する材料のうち51%は甲州ぶどうの搾りかす

 甲州ぶどうの搾りかすとPPあるいはバイオPPを組み合わせたバイオプラスチックを活用した化粧品容器は、構成する材料のうち51%は甲州ぶどうの搾りかすが占めており、ぶどうの皮などの色が反映され、容器の色は黒のみとなっている。

甲州ぶどうの搾りかすとバイオPPを組み合わせたバイオプラスチックを活用した化粧品容器の試作品(正面)と甲州ぶどうの搾りかすとPPを組み合わせたバイオプラスチックのペレット(左)、甲州ぶどうの搾りかすとバイオPPを組み合わせたバイオプラスチックのペレット(右)[クリックで拡大]

 説明員は「山梨県の化粧品メーカーが赤ワインを用いた化粧品を製造しており、その生産過程では甲州ぶどうから赤ワインを作っている。しかし、甲州ぶどうから赤ワインを生産する際に搾りかすが生じ、廃棄物となっていた。そこで、リサイクルの一環やプラスチック材料の削減を目的に、当社と取引がある商社がその搾りかすを回収し、搾りかすとPPあるいはバイオPEを混合した樹脂の生産に着手した。当社ではその樹脂を活用し化粧品容器の試作品を開発した」と話す。

 現状の課題としては、容器の表面に薄く白い模様が生じる点やぶどうのにおいがする点を挙げており、解決策として、成形条件の改善や匂いの発生を防ぐマスキング素材の混合を検討しているという。

 竹材とバイオPEを混合したバイオプラスチックを用いた化粧品容器は、サトウキビを原料に製造されるバイオPEと竹材を混ぜたバイオプラスチックを使用している。通常のプラスチックを利用した化粧品容器と比べ、石油由来のプラスチック量を減らせ、その生産で生じるCO2排出量を削減できる。なお、1トンのPEをバイオPEに置き換えることで、約1700lのガソリン分のCO2排出量削減効果があるという。

竹材とバイオPEを混合したバイオプラスチックを用いた化粧品容器の試作品[クリックで拡大]

 木材と生分解性樹脂を混ぜたバイオプラスチックを活用した化粧品容器は、構成する材料のうち52%はウッドチップが占めており、工業用のコンポストに埋めることで12週間で完全分解する。そのためマイクロプラスチックも発生せず環境に優しい。

 説明員は「竹材と木材を用いたバイオプラスチックを使用した容器はそれらの材料性質が影響し水分を含んだ内容物に触れると変色してしまう。そこで、内側に内容物を入れるバイオプラスチック製のレフィル(詰め替え用)容器を設け、内容物が木材や竹材を含んだ化粧品容器に接触しないようにしている」と説明した。

木材と生分解性樹脂を混ぜたバイオプラスチックを活用した化粧品容器の試作品(左)とバイオプラスチックを用いた詰め替え容器(右)[クリックで拡大]
工業用のコンポストで生分解されていく、木材と生分解性樹脂を混ぜたバイオプラスチックを活用した化粧品容器[クリックで拡大]

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