エプソンが香港の研究機関と協業、繊維再生の新技術を開発材料技術

セイコーエプソンは、香港に本社を構える香港繊維アパレル研究開発センターと、共同開発に関する契約を2024年1月18日に締結したと発表した。

» 2024年02月07日 09時30分 公開
[遠藤和宏MONOist]

 セイコーエプソンは2024年2月5日、香港に本社を構えるThe Hong Kong Research Institute of Textiles and Apparel(香港繊維アパレル研究開発センター、以下 HKRITA)と、共同開発に関する契約を同年1月18日に締結したと発表した。

反毛機で解繊できない繊維に対応するために

 世界的な環境に対する意識の高まりを受けて、不要となった衣類から再生した繊維を使用する動きが加速している。特に欧州では、再生繊維の使用比率を引き上げ、石油由来となる合成繊維の使用を抑制する動きが進んでいる。

 現在、再生繊維の生産工程では、不要な衣類の生地に対する解繊(かいせん)に反毛機を使用するのが一般的だ。しかし、この反毛機では、ワイシャツ、シーツの生地に使われる強撚糸素材や機能性の高い衣類に使用される伸縮性混紡素材の解繊が難しい。なお、強撚糸素材や伸縮性混紡素材はアパレル市場で一般的に普及している繊維だ。

 そこで、エプソンは、繊維質の素材を解繊することができる独自のドライファイバーテクノロジーを応用した伸縮性混紡素材や強撚糸素材の解繊技術の確立を目指すとともに、HKRITAと共同開発に関する契約を締結し、その技術やノウハウにより、新たな衣類繊維のリサイクルソリューションの提供を目指すことにした。

ドライファイバーテクノロジーで解繊した繊維を50%使用したコットンの糸(試作品) ドライファイバーテクノロジーで解繊した繊維を50%使用したコットンの糸(試作品)[クリックで拡大] 出所:セイコーエプソン

 このソリューションの実現により、従来は再繊維化が困難だった機能性衣類や、シーツ、ワイシャツなどの他、工場の端材、売れ残った衣料品、不要となった衣類から新たな再生繊維を作り出すことが可能となる。これにより再生繊維の普及加速に大きく貢献することができる。エプソンは早期に技術確立を行い、社会実装を目指す。

HKRITAの概要

 2006年に設立されたHKRITAは、香港特別行政区政府の創新科技署(Innovation and Technology Commission)から資金提供を受け、香港理工大学(The Hong Kong Polytechnic University)に設置されている。

 加えて、繊維およびアパレル産業全体の競争力を高め、持続可能な改善を推進して社会に利益をもたらすことを目的に、繊維およびアパレル産業をサポートするための応用研究に取り組んでいる。

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