東京大学は、日本ペイント・インダストリアルコーティングスとの共同研究により、スーパーコンピュータを活用した新規塗材探索手法の開発に成功した。実用的な塗材開発の高速化に役立つことが期待される。
東京大学は2024年1月17日、日本ペイント・インダストリアルコーティングスとの共同研究により、スーパーコンピュータを活用した新規塗材探索手法の開発に成功したと発表した。コンピュータ上で原子の動きをシミュレーションする分子動力学シミュレーションをベースに、塗料の防食性能を長寿命化する添加分子の候補を抽出する。
塗料には、塗膜により金属基材などの被塗物を保護する防食性が求められる。防食性を向上させるには、基板材料への密着性を高めることが重要だ。
研究グループは、スーパーコンピュータ上でさまざまな添加分子の酸化鉄基材への吸着状態を幅広く再現。得られたデータを相関解析した結果、極性分子の表面積に対する部分電荷の大きさを表す記述子や、極性部分の面積値を表す記述子が塗材の密着性に関わることが明らかとなった。
同手法は、多数の実験から新規候補材料を検討する従来法に比べ、時間やコストを削減でき、実用的な塗材開発の高速化に役立つことが期待される。
なお、同研究は、東京大学と日本ペイントホールディングスとの産学協創協定における社会連携講座「革新的コーティング技術の創生」の共同研究テーマの1つとして推進された。
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