今回共創パートナーの1社に選定されたFinal Aimは、米国と日本に拠点を構える2019年創業のスタートアップ企業で、デザイン支援とデジタル製造業領域を中心としたブロックチェーン事業を柱にビジネスを展開している。同社は、複数の協力企業やデザイナーと製品をデザインし、生産していく過程で課題となるデザイン管理の問題に着目し、その解決策として、デザインデータ/契約書/知的財産権に関する重要な情報などを一元管理し、スマートコントラクト技術によって、デザインデータおよび知的財産権の真正性や信ぴょう性、価値を担保できるデザイン管理プラットフォームの開発を進めている。
Final Aim 取締役の横井康秀氏は「デザインに関する重要データや情報をブロックチェーン上で管理し、中長期的にその権利を保全していくという当社の事業に共感してもらうと同時に、以前から取り組んできた生成AIを活用したデザイン検討プロセスの可能性についても関心を示していただき、今回共創パートナーとしてプロジェクトに参画する機会を得ることができた」と語る。
Final Aimとヤマハ発動機の共創によるConcept 451のデザイン検討プロセスでは、各種生成AIを用いて導き出された大量のデザイン案と、デザイナー(人間)の経験やノウハウを融合することで最適解を導き出した。その結果、「非対称でパイプで囲ったようなボディー、6連フロントライト、Aピラーレスなルーフなど、普段自分では採用しないような大胆でユニークなデザインが生まれた」(横井氏)という。
具体的には、テキスト生成系AIに対して、未来の環境や社会、農地/中山間地での利用を想定した1人乗り電動マイクロトラクターに求められる機能やデザイン要件などを問いながら、プロンプトのブラッシュアップを進めつつ、画像生成系AIを絡め、1〜2週間程度で500件を超えるデザイン案を導き出すことに成功した。「短期間で膨大な数のデザイン案を生み出せるのが生成AIの魅力だ。ただ、その使いこなしにはデザイナー(人間)の力量も問われる。例えば、生成AIに対して効果的なプロンプトを与えられるかであったり、生成AIが出した答えに対してデザインとして破綻していないか、製造性が担保できているかなどをきちんと判定したりする必要がある」(横井氏)。
Concept 451のデザイン検討プロセスでは、各種生成AIの利用とともに、スマートコントラクト技術を活用したFinal Aimのデザイン管理プラットフォームを用い、生成AIを活用したデザイン開発で課題となる著作権や意匠権などの知的財産権に関するリスク解消にも取り組み、デザインデータや知的財産権の真正性や信ぴょう性を担保した開発プロセスを実施したという。
「生成AIへの関心が高まるとともに、デザインに対する知的財産権のリスク回避の必要性や適切な管理対応を求める声も多く聞かれるようになってきた。Final Aimはスマートコントラクト技術を用いたデザイン管理プラットフォームの提供を通じて、デザイン開発における不安や課題を解消するとともに、デザイン検討プロセスにおける生成AIの活用を後押ししていきたいと考えている」(横井氏)
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