MONOist 素材/化学フォーラム年間ランキングで第2位に輝いたのは、インタビュー連載「マテリアルズインフォマティクス最前線」の第1回である「積水化学型MIは超やる気人財が主導、配合設計の検討速度900倍など成果も高速で創出」でした。
本連載では、製品ニーズの多様化と激しい国際競争の影響で求められている素材製造プロセスの高度化と開発期間の短縮に対応するため、国内のメーカーが取り組むMIをインタビュー取材を通して紹介しています。第2位となった第1回では、積水化学工業の情報科学推進センターが取り組むMIや情報科学を扱える人材の育成方法、MIによる成果などを丁寧に説明しています。
ちなみに、本連載の第2回である「住友ゴムのMIはレシピ共有でスタート、今はタイヤのライフサイクル全体を対象に」も8位にランクインした他、最新回の第4回である「JSRや出光はマテリアルズインフォマティクスのプロ人材をどのように育成したのか」も多くの方に閲覧されておりますのでこちらも併せてお楽しみください。
続く3位は、「レゾナックの最注力は半導体の後工程材料、6G向け半導体の新材料も開発」です。この記事では、昭和電工と昭和電工マテリアルズ(旧日立化成)の事業を統合した機能性化学メーカーのレゾナックが2023年1月1日の発足後に初めて実施した記者会見をまとめています。
レゾナックは同会見で、世界トップクラスの機能性化学メーカーになるために実施した8つの事業売却や後工程材料の事業に注力する理由、新素材の開発などを実現する3つの「共創」の仕組みなどを公表しました。
会見の冒頭で、レゾナック・ホールディングス 代表取締役社長 兼 レゾナック 代表取締役社長の高※1橋秀仁氏が「(この事業規模により)機能性化学メーカーとしてグローバル市場に挑戦するチケットを手に入れた」と語り、昭和電工と昭和電工マテリアルズの事業統合により売上高が1兆円を超えたインパクトを強調していたことが記憶に新しいです。
※1 高:正確にははしごだか。
ベスト3に入らなかった中から、(編集担当にとって)興味深い記事も紹介しましょう。それは第5位に入った「脱炭素とマイクロプラスチックに続く第3の環境課題『窒素廃棄物』の厳しい現状」です。
この記事は、カーボンニュートラル、マイクロプラスチックに続く環境課題として注目を集めつつある窒素廃棄物放出の管理(窒素管理)とその解決を目指す窒素循環技術の開発について、産業技術総合研究所 主席研究員/ナノブルー 取締役の川本徹氏が解説する連載「有害な廃棄物を資源に変える窒素循環技術」の第1回です。
素材/化学フォーラム初となる本連載の第1回では、今後世界的に削減活動が求められる窒素廃棄物の化合物やそれが引き起こす環境問題などを説明しています。特に興味深い内容は、窒素管理の施策を先進的に行う欧州と比べて、日本が窒素管理で出遅れた要因について分かりやすく言及している点です。インターネット上でもなかなか調べにくい内容だと思いますのでこれを機に読んでみてください。
以上、2023年のMONOist 素材/化学フォーラム年間記事ランキングでした。素材/化学フォーラムの年間記事ランキングは今回が初でしたが、半導体材料、MI、窒素廃棄物、スマートアグリ向けの材料など幅広い分野の記事がランクインし、とても勉強になりました。これを踏まえて、引き続き、素材開発者や関係する皆さんのお役に立てるような記事を発信していきたいと思います。2024年もぜひご期待ください! (以下、ランキング再掲)
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