半導体材料に関心集まる、積水化学や住友ゴムのMIのインタビューも人気!素材/化学 年間ランキング2023(1/2 ページ)

2023年に公開したMONOist 素材/化学フォーラムの全記事を対象とした「人気記事ランキング TOP10」(集計期間:2023年1月1日〜12月25日)をご紹介します。

» 2023年12月26日 07時00分 公開
[遠藤和宏MONOist]

 毎年恒例の「年間ランキング」です。2023年は政府が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を5類感染症に引き下げた他、海外からの個人旅行の受け入れや入国ビザ免除の再開といった水際対策の緩和措置も行いました。

 これらを受けて、外食や旅行などをする人が増加した上、訪日外国人観光客も増え国内で人流が活発化しました。しかし、ロシアとウクライナの戦争による地政学的なリスクの影響などでエネルギーの価格が高騰しただけでなく、多様な要因で円安も加速して、海外から輸送される肥料や飼料、食品の値段が上昇。これらにより、国内で販売される食品が値上がりし、一般消費者の家計を圧迫しています。

 一方、国内の製造業では、OpenAIの「ChatGPT」をはじめとする生成AI(人工知能)の導入が広がりました。AI活用に関しては、米国のコンサルティング会社であるデロイト トーマツが2023年5月に発表した「グローバルAI活動調査 第5版」によれば、AIの利活用レベルを示すAI成熟度に関して、海外企業と比べて国内企業が高い傾向が示されました。国内企業のAI成熟度向上をけん引したのは製造業で、生成AIをはじめとするAIを業務に組み込んでいる国内の製造会社が多いことも明らかにしています。

 素材メーカーでも、マテリアルズインフォマティクス(MI)でAIを活用して、複数の実験データを基にシミュレーション上で多くの実験を行い、所望の物性を持つ素材の開発を進めています。MIを使いこなすためには情報科学の知識が必要なため、素材メーカーでは素材開発の担当者に、情報科学の教育を行ったり、コンサルティング会社に依頼して情報科学のプログラムを受けさせたりして、MIを扱える人材を育てています。

 そして、2023年は素材/化学フォーラムがスタートした年でもあります。素材/化学フォーラムは、製造業に深く関わる素材/化学の情報をこれまでよりも発信する目的で立ち上がりました。

 同フォーラムでは、素材開発の課題を解決するヒントを発信する目的で、素材メーカー各社の新製品や製造技術だけでなく、前述のMIやプロセスインフォマティクス(PI)といった情報科学技術の活用事例を紹介しています。加えて、認知度が低いがこれから注目される可能性が高い窒素管理などの問題と解決策も連載を通して紹介することで、さまざまな環境問題やその対処法について知見を増やせるようにしています。

 では、MONOist 素材/化学フォーラムの1年はどうだったのでしょうか? 2023年に公開した記事の中からTOP10を紹介し、この1年間を振り返ってみたいと思います。ぜひ最後までお付き合いください。年間ランキングは以下の通りです。


⇒ MONOist年間ランキングのバックナンバー

半導体進化の限界を超えるガラス基板の記事が1位に

 2023年に、MONOist 素材/化学フォーラムで最もよく読まれた記事(第1位)は「インテルがガラス基板で半導体進化の限界を打ち破る、2020年代後半に量産適用」でした。

 第1位に輝いた「インテルがガラス基板で半導体進化の限界を打ち破る、2020年代後半に量産適用」では、半導体パッケージ技術の進化でボトルネックとなっているパッケージ基板の課題を解消するために、インテルが開発を進めているガラス基板技術のメリットと10億米ドル以上の投資で構築した研究開発ラインなどを紹介しています。

ガラス基板上に2個のチップレットを搭載した試作パッケージ。外形寸法は5×10mm[クリックで拡大] 出所:インテル

 また、お気付きかと思いますが、年間ランキングの3位に「レゾナックの最注力は半導体の後工程材料、6G向け半導体の新材料も開発」が、年間ランキングの6位に「2nm半導体プロセスの開発は順調、ナノシートトランジスタの完成度は80%以上」がランクインしており、半導体材料関連の記事が関心を集めました。

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