千葉大学は、数分で塗装が完了し、水だけでなく泥や埃なども弾く自浄効果を有した超撥水性の構造色塗装技術を開発した。微細構造に光が反射して発現する構造色は、高い発色性や耐久性から注目されている。
千葉大学は2025年1月9日、武田コロイドテクノ・コンサルティング、物質・材料研究機構と共同で、超撥水性の構造色塗装技術を開発したと発表した。数分で塗装が完了し、水だけでなく泥や埃なども弾く自浄効果を発揮する。
1μm以下の微細構造に光が反射して発現する構造色は、微細構造が維持されていれば色褪せせず、高い発色性や耐久性を有する。研究グループはこれまでに、メラニン模倣物質のポリドーパミンを構成成分とするメラニン粒子を用いた構造色材料を作製しているが、構造色の発現に時間を要するなどの課題があった。
今回の研究では、メラニン粒子にオクタデシル基(炭素数18のアルキル基)を導入した疎水化メラニン粒子を作製。この粒子は、フッ素化合物を導入した場合と同等の高い疎水性を示し、塗料などに使用される有機溶媒ヘの分散性が向上した。
この粒子を分散させたヘキサン溶液をガラス基板上に滴下したところ、見る角度を変えても色調が変化しない単色構造色が発現した。沸点の低いヘキサンがすぐに蒸発するため、数分で塗装が完了する。建築材に使われるメラミン化粧板などに、刷毛や筆で塗布することも可能だ。
塗装表面は、水の接触角(CA)が160度以上となる超撥水性を示し、自浄性を兼ね備えたロータス効果が確認された。今後千葉大学は実用化に向け、微細構造の強固な固定化手法の開発に取り組む。
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