千葉大学は、使用後に肥料としてリサイクルできる、高分子(プラスチック)の機能化に成功した。植物由来の糖を原料としており、安定性と分解性を兼ね備えたバイオエンシニアリングプラスチックとしての利用が期待される。
千葉大学は2023年4月12日、東京工業大学、東京大学との共同研究で、使用後に肥料としてリサイクルできる高分子(プラスチック)の機能化に成功したと発表した。植物由来の糖を原料としており、安定性と分解性を兼ね備えたバイオエンシニアリングプラスチックとしての利用が期待される。
今回の研究では、糖由来のポリマー(PIC)であるポリイソソルビドに着目。このPICは、カーボネート結合により、アンモニアに反応して糖由来のモノマーと尿素の混合物に分解できることが先行研究で明らかになっている。
PICはそのままでは壊れやすいことから、機能化するために、植物由来モノマーであるDBM(1,3:4,6-ジ-O-ベンジリデン-D-マンニトール)をイソソルビドと結合(共重合)させた。その後、一部の水酸基が保護されたDBMの保護基を外すことで、ポリマー主鎖骨格中に水酸基を導入できる。
イソソルビトとDBMの共重合体は、耐熱性が高い他、ボロン酸による修飾を用いることで、物性調整や新しい機能の付与が可能だ。アンモニアによる分解も、PICより早い。つまり、マンニトール由来の水酸基は、高分子の機能化と分解に寄与することが明らかとなった。
シロイヌナズナの生育実験では、共重合体の分解生成物であるイソソルビド、マンニトール、尿素の混合物を肥料として与えた方が葉が多く生えていた。このことから、植物の成長を促進する肥料としての効果があることも確認できた。
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